2014年06月07日

ワイン文化を支える欧米の富裕層とオークション   No4

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サザビーズの創業は1744年、クリスティーズは1766年と両社とも約250年続いています。長く続けられる背景にはやはり「信用」があるからです。安心と信頼性はオークションハウスにとって一番大事な要素です。老舗のオークションハウスは「ブランド」が確立しているため、両社から落札したものは、信用と価値が上がります。「オークションに出品されたワイン」という事で、ワインとしての価値が上がるということです。

以前、ニューヨークのあるレストランでギガル※のラ・トュルク 1998年をオーダーしたときのことですが、ソムリエがセラーから持ってきたワインのボトルにはサザビーズのステッカーが貼ってありました。オークションに出品されるワインは全てオークションハウス各社のステッカーが貼られます。ワインスペシャリストのチェック済み、つまりワインの品質は間違いありませんという意味があります。

※ギガルは、フランス ローヌ地方のワインの作り手。ここで作られるワインは、評論家ロバート・パーカーが激賞している。特に、コート・ロティの特定の畑から産する「ラ・トュルク」「ラ・ランドンヌ」「ラ・ムーリーヌ」の3つのワインの評価は極めて高く、パーカーが100点満点を連発している。

このように、オークションで落札されたワインは、普通にレストランで供されたりします。レストランとしても、来歴がわからない古いワインを買うのは大きなリスクですから、信頼できるオークションを活用するのです。また、オークションで落札すると話題になりますから、レストランの価値が上がるという側面もあります。オークションに参加する人たちは非常に目ざといですから、レストランが落札したワインを目当てに実際にレストランを訪れるのです。

偽ワイン(フェイク)を見分ける
オークションハウスは出品依頼が来たワインを全てオークションに出すわけではありません。価値があるワインを選択し、ワインの来歴、状態をチェックします。偽ワイン(フェイク)もきちんと見抜いて、確実なものでなければ出品しません。私がクリスティーズに入社した際、最初にいろいろなビジネス・オリエンテーションを受けましたが、その中で一番時間をかけたのが、フェイクワインの見分け方でした。 訓練を受ければフェイクワインと本物のワインの違いは容易に判断できます。

ただ、一般の人は“見比べる”機会がありませんから、単体でフェイクワインを見ても、それが偽物だとわかりにくいと思います。最近は印刷技術も発達していて、見分けがつきにくいラベルも多く出回ってきました(ちなみに、ロマネコンティのスペルを間違えていたラベルもありました)。 しかし、ラベルの紙質までまったく同じにすることはとても難しいのです。紙の繊維部分を拡大し、本物の紙質を覚えました。さらに、ラベルに記載された文字のフォントや印刷の色合いなどを覚えます。

シャトー・ペトリュスの場合は、ラベルの模造を防止するため定期的にラベルのデザインを微妙に変えますので、高値で取引されるヴィンテージのラベルは細部にわたり違いを見極められるよう教育されました。 コルクの状態もチェックします。コルクの周りの金属の覆い(フォイルと呼ぶ)をナイフで切って、コルクの長さ、コルクの刻印、またコルクとワインが接触されていた時間を見極めるためワインによってコルクが変色した色や具合も確認します。

 

 

posted by タマラオ at 08:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記