2014年06月06日

ワイン文化を支える欧米の富裕層とオークション   No3

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オークションは、離婚、死亡、借金で成り立っている?
欧米のオークションハウスとは、「オークションハウスの情報力はCIA並みで、著名人や資産家が亡くなると、葬儀屋よりも早く遺族のもとに駆けつける」というところです。 私がクリスティーズに入社して最初に、「オークションハウスは3Dで成り立っている」と教わりました。3Dとは、Divorce(離婚)、Death(死亡)、Debt (借金)です。この3つのDはオークションハウスにとっ
ては大きなビジネスチャンスなのです。

例えば、アメリカでは結婚をする前に婚前契約(プリナプチュアル・アグリーメント)、通称プリナップを結びます。プリナップとは離婚した時にお互いの財産分与等を取り決めておく事ですが、この契約を結んでいる場合は財産を均等に分けることができません。大物カップルの離婚のうわさが出るとオークションハウスは水面下で動き出します。事実が明るみになるころには弁護士を交えて、離婚後の家財道具、宝石などをオークションに出品するよう、交渉が始まっているのです。

死亡の場合も同じで、特に著名人が亡くなったと聞けば直ぐに遺族の元へ駆けつけ、遺品の出品契約を結びます。この行動の早さから、CIA並みだとメディアに茶化されました。 2008年6月に亡くなったフランス人デザイナー、故イブ・サン・ローラン氏の場合も、死亡の記事が流れるや否やオークション開催が発表されました。故イブサンローラン氏と長年のパートナーの所蔵品を4日間に渡りオークションを行い総額約460億円も売り上げたのです。

リーマンショックの半年前にも、リーマン・ブラザース社の社長宅を訪ね、会社や社長が所有する絵画の出品をとりつけてきました。リーマン・ブラザース社の看板までクリスティーズに運びこまれる写真がメディアを賑わせました。リーマンショックからの立ちなおりの兆しが見えた約一年半後、オークションを開催し、それらの絵画は全て高値で落札されたのです。

クリスティーズやサザビーズは、絵画、ジュエリーなどの美術品と並んで、ワインも主要なオークション対象として扱っています。
資産家や著名人は絵画等のコレクターでありワインのコレクターでもあります。ほとんどの絵画のコレクターは個人でアートディーラーやアドバイザーを雇っており、その助言を元に様々な美術品を買い求めます。 同様にワインコ
ンサルタントも雇っていますので、そのアドバイスを元にお宝ワインを所有しているのです。彼らは、自宅などでパーティーを催す際にワインを消費することもありますが、冒頭でも触れたように資産の一つとしてワインを所有しています。

欧米の上流階級層同士のネットワークの場では、必ずワインについての話題が持ち上がります。以前、私がクリスティーズに在籍していた時の話ですが、あるパーティーの席で「サザビーズがワイン出品のアプローチに来ている」と口を滑らせた方がいました。その方は絵画のコレクターとしては有名でしたが、ワインのコレクションを持っているということは知られていませんでした。それを聞きつけた元上司は、翌日、その方のところへ赴き、サザビーズを押しのけ、ワイン出品の契約を取り付けたのです。

 

 

posted by タマラオ at 05:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記