2014年04月18日

「ブラック企業。でも、辞められない!」   No2

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こんな社会は異常だ。普通に働けば、普通に生活できる社会の構築を目指すのは、ごくごく当たり前のこと。ところが、その異常事態は今もなお、続いている。あれからもう何年も経っているのに、その状況は改善されるどころか、むしろ何ごともなかったかのように切り捨てられているようにさえ思える。  そこで今回は、「働く貧困層」について考えてみよ
うと思う。

母はブラック企業で働いています。けど辞めません
まずはこの学生が、なぜ貧困について書いたのかを説明しておこう。 その講義では毎回、一人の人物を取り上げ健康社会学的視点から紐解いていくのだが、冒頭のレポートは本田宗一郎さんの回のものである。本田宗一郎が貧乏な家庭で育ったことについて、彼なりの意見が書かれていたのだ。 「本田宗一郎が貧乏だったというのには、とても親近感を持
ちました。僕は、汚い着物だからって、友だちの家から追い返されたことはなかったけど、それに近いことはありました」

「本田宗一郎には技術があった。でも、僕には何があるんだろう? そう考えると不安になります」 「本田宗一郎の、『貧困な人は、早く自分の得意なものを発見して、大切
に育てよう。それが心の支えになり、栄光への力強いバックボーンともなる』という言葉は、とても心に残りました。母は、『一生懸命勉強して、とにかく大企業に入りなさい』って言います。大企業に入れば、本田宗一郎のバックボーンとなった技術のようなモノが、僕にも見つかるのか? よくわかりません。

ただ、ひとつだけわかっているのは、僕の家庭は貧困だということです」  「母は、ずっと働いています。正社員ではありません。なのに、いつも働いています。ブラック企業で働いています。でも、辞めません。なぜなら、貧困だからです。ワーキングプアとか、プア充とか。“プア”なんて、軽い言葉で言ってほしくない。貧困は……、そんな生易しいものじゃない」  以上が、レポー
トの内容である。

講義では「本田宗一郎の貧困」にスポットを当てたわけでも、ワーキングプアとか、プア充などという話をしたわけではない。でも彼は、私も含む社会に、訴えたかったんだと思う。 「先生、僕みたいな学生がいるこ
と、わかっている?」 「本田宗一郎の生き方には、勇気をもらえたけど、僕にそんなことができるのかな? どうしたら本田宗一郎みたいになれるのかな? 先生教えてよ」と。  学生たちのレポートには、必ず
といっていいほど、「自分の不安や葛藤」が書かれているのだが(私が「書いて!」と言ったわけではない)、彼も不安を伝えたかったのだろう。

怒りと不安。感情のゆれが、痛いほど伝わってきた。その揺らぎが、「“プア”なんて、軽い言葉で言ってほしくない」という、文章になった。うん、多分、きっと。少なくとも私にはそう思えた。 実は、今からちょうど2年
前にも似たようなことがあった。
「僕の母は、僕を育てるために、ずっと安い時給のレジ打ちをやっています。好きなことなんか何もできていないし、やりたいことなんかやっていないと思う。でも、ずっとずっとレジ打ちをやっています。

 

 

posted by タマラオ at 05:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記