2014年04月12日

サイレントプアー(声無き女性の声)   No4

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以前、母親たちのストレス調査を行った時にシングルマザーの方がいて、「世間の偏見は、これだけ離婚する女性が増えても変わらない」とこぼしていることがあった。 低所得に苦しむシングルマザーの方たち
の多くは、格差問題、貧困問題を見て見ぬふりをされているだけでなく、世間の「シングルマザー」に対する“まなざし”とも戦っているのである。  多くの大企業では、数年前から積極的に女性の
登用を進めている。女性管理職を増やし、結婚して子供が生まれても、働き続けられるようにと、さまざまな取り組みを行っている。

それはそれで大切なことだし、どんどん進めてほしいと願っている。だが、時給900円で働く女性たちのための施策は、何か取り組んでいるのだろうか?  「いやいや、うちにはパートさんはいませ
んから」  こう答えるのだろうか? では、その下請け、孫請けの中小企業にはどうだろうか?  それでもやはり、「いない」と答えるのだろうか。

いま私たちが直面している格差問題の本質
いや、分かっている。何も大企業の取り組みだけを責めているわけじゃない。だが、大企業の下請けの中小企業や零細企業で働く人たちのことまで、思いを巡らせたことがあるかどうか。それが問題なのだ。 消費税すら滞納せざ
るを得ない体力のない零細企業で、「厚生年金を負担するとなると雇えないよ」と悲鳴を上げる中小企業で、低賃金であえいでいる方たちのことを、ほんの一瞬でも思いやる。もちろんそれは、シングルマザーだけじゃない。

働けど働けど、ラクにならない人たち。賃金格差だけでなく、機会格差にも苦しむ人たちに、だ。  「公務員のボーナスが増えた」という事実は、大々的に報道され、それ
を聞いた誰もが、「消費税だ、増税だと言っている時におかしいじゃないか!」と拳を振り上げ、怒りをあらわにする。  憎むべき相手がいる時には、議論はエスカレートし、メディア
も動く。すべての新聞、すべてのテレビ、すべての週刊誌が、「公務員“だけ”優遇するな!」と叫びまくる。

だがなぜか、「働く女性の3人に1人が貧困」というニュースはひっそり伝えられるだけ。そこに「憎むべき対象」が存在しない時には、世間もちっとも盛り上がらない。 それこそが、いま私たちが直面している
格差問題の本質なのかもしれない、と思ったりもする。  東日本大震災で、少ない救援物資を分け合っていた人々。どうにか寄り添いたいと、ボランティアに汗を流す人々。日本人には、そういう「分かち合う」優しいマインドがあるはず。

なのに、なぜか気持ちを「分かち合う」ことよりも、憎悪ばかりが猛威を振るうのだ。
寄付大国ともいわれる米国では、低所得の人たちでさえ、年収の4%の寄付をしているそうだ。米シアトル・タイムズ紙に掲載されたシングルマザーの言葉が話題になったこともあった。  「カネのない人間の方が、困っている人の気持ちがよく分かるのよ」(シアトル・タイムズ紙電子版2009年5月23日付けより)ひょっとすると日本の貧困層が世界的に見ると、比較的豊かであることが格差問題をなおざりにさせているのかもしれないけれど……。憎悪よりも、分かち合おうという志。その“志”を、政治家、官僚、経営者、働く人々、すべての日本人が持たない限り、格差問題、貧困問題は泥沼にはまっていきそうな気がしてしまうのであった。

 

 

posted by タマラオ at 06:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記