2014年04月11日

サイレントプアー(声無き女性の声)   No3

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25〜34歳では、男性16%に対して女性39.7%。35〜44歳では、男性8.5%、女性54.9%と、この年代で働く女性の2人に1人が非正規雇用ということになる。  「あしなが育英会」の報告では、遺児家庭の
63%が非正規雇用で、母子家庭の手取り収入は月平均約12万5000円。6割以上の家庭が教育費の不足を訴え、高校生がいる世帯のうち、39.7%が経済的理由から進学をあきらめていたことも、同時に報告されている。

母親たちは安い収入で、少ない教育費で、必死に子供たちを育てている。中には、2つ、3つと仕事を掛け持ちし、1日の労働時間が16時間以上の人もいる。また、生活保護を受けられる基準にありながらも、「子供がいじめを受けるから」と申請を我慢する母親たちも少なくない。  子供には苦労させたくない。そんな思いで、母親たちは安い賃金で働
いているのだ。だが、一向に所得は増えず、賃金格差だけでなく、機会格差にも苦しんでいるのである。

彼女たちにとって携帯や車はぜいたく品ではない
前出の学生には、母の苦労が痛いほど分かっていた。そして、私は、そういう女性たちがいるということを、頭では理解しながらも、本当には分かっていなかった。全くもって恥ずかしい話だ。 「やりたいことをやるため
に、目の前のことを必死にやる」ということが、やりたいことの機会すら得られない人たちにとって、いかに冷酷な言葉であるかということを、全く考えていなかったのだ。 2回目の授業の時に、働くことの意味に
ついて話し、そのリポートに、「先生の話を聞いていたら、働くことが楽しみになりました。

一生懸命働いて、母がやりたいことができるように、僕は頑張ります。先生の授業を受けて良かったです」と、彼が書いてくれたのが、せめてもの救いとなった。 だからといって、彼を傷つけてしまったこ
とが帳消しになるわけじゃない。私は、格差があるという事実に、これっぽっちも寄り添っていなかったのだ。 相対的貧困層が16%前後で、働く女性の3人に1人が貧困層──。この
数字が持つ意味は、「何気なく接している人の中にも、苦しい思いをしている人がいる」「何気ない一言で、傷つく人がいる」という事実にほかならない。格差が広がるとは、こういうことなんじゃないだろうか。

「ほら、また女性問題となると感情的になるんだから。収入が低いことは認めるけど、携帯を持って車も持ってる人も多いじゃん。本当に貧しければそんなもの買えないでしょ?」 そう苦言を呈する人もいるかもし
れない。でも、子育てをする女性にとって、携帯はぜいたく品ではなく必需品だ。学校やPTAの連絡のほとんどは、携帯メールが利用されている。携帯がなくては、大切な子供に関する情報も得られない。

車だって同じだ。首都圏にいると車は必要ないかもしれないけれど、地方では車がなくては生活ができない。ましてや、子供が寝静まってから仕事に出かけるには車が必要だし、子供たちの送迎にだって必要となる。 車がないことで
子供たちに悲しい思いをさせるような状況にあれば、自分の食費を削ってでも車を買う。子供のためであれば、身を削ることなど母親にとっては、何でもない。その“事実”に、私たちは正面から向き合ってきたのだろうか? 申し訳ないことに、私は向き合っている“つもり”になっていただけだった。

学生のリポートがなければ、そのことにさえ気がつかなかった。情けない。全くもって、ひどい話だ。  ワーキングプアとか、生活保護受給者というと、報道される対象も男性
が多いこともあってか、「男性の問題」というイメージが強く、「女性の問題」というと、管理職が少ないとか、役員が少ないという問題ばかりが取り上げられがちだ。  その陰で、シングルマザーたちの問題
は見過ごされてきた。いや、見過ごしたのではなく、通り過ごし、見て見ぬふりをされたのだ。

 

 

posted by タマラオ at 08:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記