2014年04月05日

1日1万5000人が殺到するベトナムのマクドナルド  No3

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「相当に大きなチャレンジだが、やりがいがある」とヘンリーは嬉しそうに語る。 ヘンリーは越僑のいわば代表選手の1人だが、他にも活躍する越僑は多い。彼らはいずれも、ボートピープルとして欧米に渡り、そこで苦労をしつつ生き残ってきた。ゆえに、タフで、前向きで、そして我慢強い。世界的な視野もあり、ネットワークも広い。世界経済が一体化していく中、彼らのような存在が多数いることは、ベトナムの強みだ。

一方、ますます内向化しつつある日本に彼らのような人材が少なくなりつつあることは、憂慮すべきだと思う。 

「最近の日本人は、海外に出なくなったうえに、中国や韓国との関係にだけ、目くじらを立てているように見える。視野が狭い気がする」という知り合いの越僑の意見は正鵠を射ていると感じる。

生野菜しか調達できない脆弱な経済構造
最後に、マクドナルドにも現れているベトナムの経済構造の課題を一つ指摘したい。 実は、ベトナムのマクドナルドは、トマトとレタスを国内から仕入れているだけで、それ以外の原材料はすべて輸入である。牛肉はオーストラリアから、じゃがいもは米国から100%輸入している。 さらに、ハンバーガーの包装紙や箱、コーラの紙コップなどもすべて中国などから輸入している。これらはベトナムで全く作れないわけではない。ただ、現地サプライヤーの製品が、マクドナルドの求める基準に達していないのだ。

「ベトナム経済のためにも、できるだけ国内で原材料を調達したかった。しかし、マクドナルドの求める基準を満たせる国内サプライヤーがいなかった」とヘンリーは残念そうに語る。 「トヨタがベトナムから撤退する日」でも紹介したが、ベトナムは裾野産業の発達がタイなどの近隣諸国に比べて著しく遅れている。安い人件費を武器に車の組み立てはできるが、その部品は作れないということだ。 これは何も部品に限った話ではない。紙コップやハンバーガーの箱すら十分な品質基準のものが作れないというのが、残念ながらベトナムの現状だ。

2018年に向けてASEAN域内の関税が撤廃されれば、いよいよ国内の裾野産業を育成していくことは難しくなる。マクドナルドをはじめ、内需に期待する大型投資が拡大する一方で、どうやって自国の産業を育成していくか、ベトナム政府は難しい課題に直面している。

 

 

posted by タマラオ at 06:29 | Comment(3) | TrackBack(0) | 日記