2014年04月01日

ベトナムで企業経営のヒント    No1

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トヨタがベトナムから撤退する日 政府の煮え切らない政策にAFTA発効が待ったなし      2013.12.11 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39386

細野 恭平 ; (株)ドリームインキュベータ(DI)執行役員、DIベトナム社長  東京大学文学部卒業(スラブ語)、ミシガン大学公共政策大学院修士 1996年、海外経済協力基金(後に国際協力銀行)に入社。 旧ソ連(ウズベキス
タン、カザフスタン等)向けの円借款事業や、途上国の債務リストラクチャリング、ODA改革等に従事する。途中、ロシア・サンクトペテルブルクにてロシア語を習得。

2005年、DIに参画し、大企業向けのコンサルティングやベンチャー企業向けの投資に従事。2010年から、ベトナムに駐在。DIアジア産業ファンド(50億円)を通じたベトナム企業向けの投資、ベトナムに進出する日本企業・ベトナム政府/企業向けのコンサルティングなどを手掛ける。400社以上のベトナム現地企業と接点があり、ベトナムの幅広いセクターに精通している。

トヨタ自動車がベトナムから撤退する日が数年以内に来るかもしれない。 決して最重要機密を漏洩しているわけではない。トヨタの役員クラスが公然とその可能性を示唆し、ベトナム政府に対して繰り返し警鐘を鳴らしている周知の事実だ。
2018年にゼロになる関税
開発が進むホーチミン市内。中央は中心部にある国営百貨店、サイゴン タックス トレードセンター   ベトナムでは、自動車産業保護のため、ASEAN(東南アジア諸国連合)域内からの完成車の輸入に対しては60%という高関税がかけられている。 分かりやすい例で言えば、仮に1000万円の「レクサス」を輸入すると、車両価格だけで1600万円になる。 これに車両登録税やディーラーの手数料など諸々の諸費用を含めると、ざっくりと2000万円。

つまり、当初の2倍ぐらいの価格になる(ちなみに、2000万円ぐらいの車に乗っているベトナム人はざらにいる。いったい、彼らがどうやってそんなカネを稼いでいるかは興味深い話だが、それは次回以降に書きたい)。 この完成車への輸入税が、ASEAN自由貿易協定(AFTA)によって、2018年にはゼロになる。これが、トヨタをはじめ、ベトナムにある自動車メーカーの存亡を左右する。 ベトナムでは、自動車部品の現地生産比率が非常に低い。

現地生産できる部品は、シートやワイヤハーネスなど労働集約的なものが中心で、ほかは輸入に頼らざるを得ない。部品の現地調達率は、自動車メーカーによって異なるが、20〜30%程度だろう。 そうすると、完成車の関税がゼロになった場合、トヨタにとっては、わざわざ部品を輸入してベトナムで割高な完成車を作るよりも、部品を現地で生産できるタイやインドネシアの生産拠点から完成車を輸入する方が安くなる可能性が高い。

組み立てるだけのスマートフォン
部品の現地調達率の低さ、すわなち「裾野」産業の弱さは、決して自動車だけの話ではない。 例えば、韓国のサムスン電子は、壮大なスマートフォン工場をベトナム国内で稼働させている。この工場の規模は壮観で、2013年の予想輸出額が約2兆5000億円、ベトナムの国としての輸出全体に占めるサムスン電子の比率は、低く見積もっても15%以上になる。 しかし、この巨大なスマートフォン工場も、「実は部品はほぼすべて海外からの輸入だ」と、サムスンの関係者が語っている。つまり、ベトナムは輸入した部品を、低価格な労働力を使って、組み立てるというだけの付加価値しか提供できていない。

ミャンマーへと移り始める産業
労働集約的な産業の弱点は、賃金が上昇すると、徐々に競争力を失ってしまうことだ。ベトナムにとっては、経済改革に着手し始めたミャンマーが脅威となる。 ベトナムの平均的な工場労働者の賃金は月200ドル前後。一方、ミャンマーでは、100ドル以下で集まる。 ベトナムには、ユニクロやナイキなどのグローバルな衣料品メーカーの生産工場が多いが、「既に衣料品の工場は、より低い賃金を目指して、ミャンマーなどへと戦線を移動しつつありますよ」と日系の繊維関係者は語る。

もちろん、労働力の質の差があるため、すべての労働集約的な産業が一気にミャンマーにシフトことはない。 しかし、労働集約的な産業だけでは、長期的な視点では、国としての競争力は低下することは明白だ。そうなる前に、資本集約的な部品産業を含む裾野産業を構築していく必要がある。 では、なぜ、ベトナムでは裾野産業が育っていないのか。どうしたら育つのか。

市場の拡大(城を大きくする)
まず、大前提として、市場を大きくしなければいけない。 裾野産業というのは、一種の城下町。城が巨大になり、そこに住む侍が増える。すると、そこには自然と諸国から様々な物売りが集まって、巨大な城下町を形成するようになる。
ベトナムのバイク市場は、ホンダを中心に年間販売台数300万台以上。部品の現地調達率75%以上に上り、既に巨大なバイク城下町が築かれている(過去、バイクの裾野振興策は迷走を極めたが、結果として、大量の需要がすべてを癒やした)。

 

 

posted by タマラオ at 04:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記