2014年03月23日

快進撃・アップル社支える「日の丸工場」の底力   No1

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PRESIDENT 2012年3月5日号     http://president.jp/articles/-/5580

アップル社が“秘中の秘”取引先156社リストを突如、公開――。プレジデントはリストに並ぶ聞きなれぬ社名に注目。今をときめくスーパーカンパニーを支える職人たちを追った。公開された取引先は全体の97%

「正直、面食らっているんです」
米アップル社が1月13日、これまで秘中の秘としてきた世界中の部品調達・生産委託先156社の名を公開した。この英字リストには、米系、台湾系などとともに日本企業も。ソニー、シャープ、NECなど大手から地方の非上場企業まで、32社の名がある(表参照、“国籍不明”の数社を除く)。冒頭の一言は、その中の一社に取材を申し込んだ際の反応だ。無理もない。アップル社は取引先との間で、取引じたいを公開しない秘密保持契約を結んでいるからだ。なぜ今、社名を公開したのか。

「取引先工場の劣悪な労働環境の改善のために、過去6年にさかのぼったレポートを作成しました。しかし、取引先の企業名を公開しなければ、(改善の努力や効果の有無を)秘匿していると思われてしまう。リストに掲載した会社には、これまで監視の目を緩めずにやってきたということです」(アップルジャパン)一昨年、中国で工場従業員の自殺が相次いだことが批判されたのを受けたようだ。が、「リストにあるのは取引先の97%。

残り3%はこちらでもわかりません」(同)。間接的に納品している企業は入っておらず、また、あるべき企業の名が見当たらず、「何らかの基準があったのでは」(別の一社)との声も。すべてをオープンにしたわけではなさそうだ。
このリストに掲載された東陽理化学研究所(以下、東陽社)は、現在年商約56億円、従業員340人(2010年12月期)。1950年に国内初のステンレス電解研磨専門会社として発足、非鉄金属の加工では国内有数の技術を誇る。

同社が本社を置くのが、ステンレス、チタンなどの金属製品製造で知られる新潟県燕市。江戸初期、困窮した農村の副業として始めた和釘の製造を端緒に、今は金属洋食器、金属ハウスウエアをはじめ、あらゆる金属製品を手掛けている。

プレジデントの取材依頼に、「取材には一切応じていません。アップル社の許可がないと……」。ある民間調査機関の調査マンは、同社について「研磨工程の特許技術を開放し、地元の発展に貢献した。アップル社とは“いい関係”を築いており、ノートパソコン『PowerBook G4』のチタニウムの筐体は同社製」と解説した。

「コピー工員」ではなく「職人」であり続ける
燕市には、研磨・表面処理・プレスといった技術を持つ“磨き職人”たちのシンジケートがある。結成は03年。市内の14〜15社で構成され、市内外から舞い込む仕事を共同受注する。「地元の工業会がつくった共同受注グループを“磨き屋シンジケート”と名付けた」と田中氏。ステンレス製マグカップが好評で知名度アップ。

「昔は、一匹狼ばかりでしたが……」
現在、市内施設「磨き屋一番館」で磨き職人の後継者育成に携わる田中三男・燕研磨振興協同組合理事長はそう語る。田中氏が、従業員3人と研磨業を営んでいた01年、東陽社からIT機器研磨の仕事が回ってきた。初代iPodのステンレス製ボディの研磨だった。鏡と見紛う水準の、ピカピカの裏面である。当時はまだシンジケートがなく、田中氏は職人たちの集まりである研磨工業会を通じた取りまとめ役となった。

「一個磨いて100円。自分でやってみたら、一日100個で1万円が精一杯。当時は一日3万円、4万円稼ぐ人もいたからやる人がいない。最初は私も断ったけど、受けた責任もあるから、仕方なく私だけで始めた(苦笑)」(田中氏、以下同)
東陽社は、プレス加工と付属品のスポット溶接でiPodの筐体を形づくる。磨き職人は、バフと呼ばれる円盤型の研磨道具をモーターで回転させ、そこに筐体を手であてて一つ一つ磨き上げる。

 

 

posted by タマラオ at 05:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記