2014年03月18日

Stay hungry,Stay foolish No4

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その日の午後に生検を受けました。のどから入れられた内視鏡が、胃を通って腸に達しました。膵臓に針を刺し、腫瘍細胞を採取しました。鎮痛剤を飲んでいたので分からなかったのですが、細胞を顕微鏡で調べた医師たちが騒ぎ出したと妻がいうのです。手術で治療可能なきわめてまれな膵臓がんだと分かったからでした。 人生で死にもっとも近づいたひとときでした。今後の何十年かはこうしたことが起こらないことを願っています。

このような経験をしたからこそ、死というものがあなた方にとっても便利で大切な概念だと自信をもっていえます。 誰も死にたくない。天国に行きたいと思っている人間でさえ、死んでそこにたどり着きたいとは思わないでしょう。死は我々全員の行き先です。死から逃れた人間は一人もいない。それは、あるべき姿なのです。死はたぶん、生命の最高の発明です。それは生物を進化させる担い手。古いものを取り去り、新しいものを生み出す。

今、あなた方は新しい存在ですが、いずれは年老いて、消えゆくのです。深刻な話で申し訳ないですが、真実です。 あなた方の時間は限られています。だから、本意でない人生を生きて時間を無駄にしないでください。ドグマにとらわれてはいけない。それは他人の考えに従って生きることと同じです。他人の考えに溺れるあまり、あなた方の内なる声がかき消されないように。そして何より大事なのは、自分の心と直感に従う勇気を持つことです。

あなた方の心や直感は、自分が本当は何をしたいのかもう知っているはず。ほかのことは二の次で構わないのです。 私が若いころ、全地球カタログ(The Whole Earth Catalog)というすばらしい本に巡
り合いました。私の世代の聖書のような本でした。スチュワート・ブランドというメンロパークに住む男性の作品で、詩的なタッチで躍動感がありました。パソコンやデスクトップ出版が普及する前の1960年代の作品で、すべてタイプライターとハサミ、ポラロイドカメラで作られていた。

言ってみれば、グーグルのペーパーバック版です。グーグルの登場より35年も前に書かれたのです。理想主義的で、すばらしい考えで満ちあふれていました。 スチュワートと彼の仲間は全地球カタログを何度か発行し、一通りやり尽くしたあとに最終版を出しました。70年代半ばで、私はちょうどあなた方と同じ年頃でした。背表紙には早朝の田舎道の写真が。あなたが冒険好きなら、ヒッチハイクをする時に目にするような風景です。その写真の下には「ハングリーなままであれ。愚かなままであれ」と書いてありました。

筆者の別れの挨拶でした。ハングリーであれ。愚か者であれ。私自身、いつもそうありたいと思っています。そして今、卒業して新たな人生を踏み出すあなた方にもそうあってほしい。


ハングリーであれ。愚か者であれ。
「あなたたちは今は hungry で foolish だ。しかしやがては大人になり、満ち足りて、賢明になるだろう。そのことを自分の成長の証だと思うだろう。しかし、そう思ったとき、あなたたちは成長を止める。成長を止めないためには、いつまでも若さを失ってはならない。いつまでも活力の源を失ってはならない。そのためには、若いときの hungry で foolish な気持ちを忘れ
てはならない。あなたたちは今は hungry で foolish だ。それを残念に思うこともあるだろう。

もっと成長したいと思うこともあるだろう。しかし、hungry で foolish だということ自体が、成長への意欲をもたらす。その気持ちを、いったん成長したら、見失いがちだ。しかし成長してからも、若いときの意欲を忘れてはならない。そうすれば、人はいつまでも成長できる」これがジョブズの真意だ。そして、それが胸に響くのは、彼がそれをまさしく自分で実行してきたとわかるからだ。彼は、人がいつまでも成長するための方法を教え、そして、それがまさしく可能だということを、身をもって示してくれているのである。

ありがとうございました。

※スティーブ・ジョブズ氏が2005年6月12日、スタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチ原稿の翻訳。

 

 

posted by タマラオ at 05:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記