2014年03月09日

こんな人生の歩き方  No30

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(6)この時期だからこそ大卒新人を採用し、技術の伝承に注力
ISOの取得で最初は有志から。やがてその他の社員が入って来るボトムアップ型組織へ

「はじめて一か月分の賞与を出せたのは2007年の冬です。2008年は夏・冬出すことが出来ました。そして、2007年頃から第三者からの喝が必要だと思い、ISOの取得を考えましたが、当然ベテランの中には反対する人もいました。若手にヒアリングをすると、取りたいとかなり意欲的でしたので、取得することをトップダウンで決めスタートしました」2006年念願の財務の正常化もできて、やや社内は中だるみ状態であった。でもまだ、ボーナスは出せなかった。

麻美氏は、ISO取得はお金をかけず社員参加で取り組める目標だと考えた。同社の若手30代が中心になってISOの取得を1年かけて取り組むことになった。やがて、その動きは社内に徐々に広がっていった。その結果、2008年に計画通り取得することができた。

社員が祝ってくれた誕生パーティで、はじめて涙する
同社では毎月、社員の誕生パーティを開いている。そこで、麻美氏はポケットマネーでチョコレートかワインをプレゼントすることにしている。また、敷地内に社員は自分のポケットマネーで野菜や花を植えて、きれいな工場にしようと取り組んでいる。ある時、社員が麻美氏には内緒に、彼女の誕生パーティを企画した。外から会社に戻った麻美氏は、この思いもかけぬサプライズパーティに感激し、社員の前ではじめて涙をみせた時であった。

社員がポケットマネーで、野菜も育てている。
技術の伝承は、現場で一から取り組む時間がかかるテーマ ものづくりの世界では、業界や製品の用途に応じてさまざまなメッキ加工の方法がある。その中で同社の強みは自働機に頼らず、手作業が必要とされる分野である。つまり、厳しい品質や細かい仕様をクリアする、手のかかる加工を得意としている。この強みを社内できちんと伝承させるには、職場で先輩が若い社員に一から手とり足とり教えていくことが欠かせず、かなりの時間がかかる。

お客さまからの新しい引き合いがあった場合、社内に長年かかって蓄積された自社に固有の技術やノウハウがベースにあるから、そこに研究と工夫を重ねることで、経験のないむずかしい要求をクリアできるのである。しかし、社内は70代の技術の高い職人をはじめ、故光雄氏と共に仕事をした経験がある60代と50代が多くなっていた。光雄氏の病気以降、A社長は計画的な人事政策を持たず、新人採用を怠っていたこともある。また中堅世代はリストラされて抜けていた。

その結果、年齢構成は50代から40代が細くなっていて、以降は30代から20代、10代の3名となっている。創業50周年を迎え、次の50周年目指して、まず人の採用と育成を決断 2008年は麻美氏の父光雄氏が同社を創業
して50年目の節目の時期を迎えた。そこで、麻美氏は09年4月入社の高卒と大卒4名と高校卒1名の計5名を採用し、若手社員の層を厚くすることにした。これから同社の50年に向かって、本格的にひとづくりの礎を築くことに着手したのである。

「採用では、やる気・気あい・根性をもっていて当社に入りたいと思ってくれる学生を採用しました。その結果、たまたま今年入社した学生は文系4名、理系1名いう構成になってしまいました。なんでこんな不況の時に、と言われるかもしれません。しかし、仕事が忙しくなると、うちのような会社では、特に大卒新人の採用は思うようにいきません。こういう時期こそ、若い人を採用してしっかり技術の伝承に取り組もうと考えたのです。さいわい、70代60代の大先輩がこのことをとても喜んでくれ、真剣にその期待に応えたいと言ってくれています」

同社はいまパートを含め約70名の社員を抱えている。上述したように、4月から大卒4名に高卒1名が入社してきた。さらに、フィリピンから2人、スリランカと中国から各1人が働いている。「厳しい再建の時代を経験してきた社員たちは、いわば底の時の厳しさを身をもって知っています。従って、いまの不況でも、私たちはやるべきことを、着実にやっていこうと思っているのです」

 

 

posted by タマラオ at 05:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記