2014年02月08日

こんな人生の歩き方  No3

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イスラエル人のハングリーさ、率直さ(時に失礼なほど)、失敗を恐れずに新しい事に挑戦する若手を支援する教育方針、常に世界レベルでビジネスを考える姿勢や、互いを支援し合うユダヤ系ネットワークの強さ、に圧倒されました。
エルサレム訪問中に滞在していたエリアが厳重警戒地区となり、若い兵隊達と話す機会がありました。敵国に囲まれる中、自国を守るためのサバイバル力を身につけていく彼らを見て鳥肌が絶ちました。

在学中にベンチャー企業を立ち上げるも内部分裂
ボストンに戻った直後、起業経験のあるイスラエル人同級生2人と早速組んで、企画に取りかかりました。まず、クラウドソーシングサイトのアイデアを練りました。日本のデザイナーやアーティストの才能を海外向けに売り込むため、Tシャツのデザインを請け負うものです。そして、ハーバード大学が春に開催する、ビジネスプラン・コンテストに応募しました。準決勝まで進んだので、アイデアを実行するための資本金を学校が提供してくれました。米系ブランドでマーケティングのインターンをするはずが、これまた人生計画が狂ってしまいました。3カ月の夏休み期間を使って一時帰国し、いきなりビジネスを創業する事になったのです。

ただし、このベンチャー企業は、卒業するときに廃業することになりました。「日本の魅力を世界に発信するビジネスを作りたい」という私の考えをベースに立ち上げたので、他の創業仲間との間で、目標やインセンティブが合わなくなり、別れる事になってしまったのです。悔しさと涙に堪えなければならない経験となりました。それでも、それまでで最も充実した数ヶ月でした。MBAコースの授業で学んだ事をそのまま実践して試すことができました。

自分の強みと弱みを発見することもできましたから。学生と二足のわらじで、フルにコミットできなかった悔しさもあり、もう一度ゼロから、最高のチームと組んで起業したいと強く思うきっかけになりました。

コーチで、右脳で判断するクリエイターと仕事
田村:その矢野さんがMBA取得後に選んだ就職先がコーチでした。ハーバード・ビジネススクールの方々が「これは意外だ」とおっしゃってました。待遇としても、業界としても。なぜコーチだったのでしょうか?

矢野:針路に就いて、卒業間際になっても、毎日悩んでいました。在学中に日本で立ち上げたベンチャー企業を続けるために日本へ戻るべきか?そもそも、当初の目的であった、米企業本社での勤務経験を優先するか?悩んだ末、ベンチャー企業はいったん閉じて、自分が今後立ち上げたいビジネスの役に立つ産業経験を米国で得ようと思いました。 そして、米国トップブランドであるコーチ本社のデジタルメディアマーケティング部で、経験を積むことになりました。

もともと、ファッション、アート、メディアなどのクリエイティブ産業に興味がありました。次に立ち上げるであろうベンチャー企業も絶対にデジタル系だと思っていましたから。これは、最高に貴重な体験でした。 MBA取得者がコーチに勤める事は特に珍しいことではありません。社内の戦略チームのメンバーは全員MBAホルダーか戦略コンサル出身者でした。ただ、私がいた部署はMBAホルダーが一人もいないクリエイティブ集団でした。

上司は、右脳で物事を判断するクリエイティブディレクター。間違いなく、今までとは全く異なる環境でした。自分と全く異なる人たちと一緒に働くと、こちらの常識が通用しません。はっとさせられる事が多く、その分学ぶ事が多かったです。
待遇では、金融業界に適いません。でも、待遇で仕事を選んだ事は一度もありません。自分が興味を持っている分野で、強みを活かしながらパワーアップしていける仕事を常に探しています。そんな仕事を創っていきたいです。

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)
前参議院議員、元内閣府大臣政務官(経済財政政策担当、金融担当)、元参議院国土交通委員長。早稲田大学卒業、慶応大学大学院修了(MBA取得)、米デューク大学ロースクール修了(証券規制・会社法専攻)(法学修士号取得)、エール大学大学院修了(国際経済学科及び開発経済学科)経済学修士号、米オックスフォード大学上級管理者養成プログラム修了

 

 

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2014年02月07日

こんな人生の歩き方  No2

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トップを目指す仲間に刺激され退社、留学
田村:20代のキャリア設計は皆悩むところです。留学のコストパフォーマンスを測りかねて断念する人が多いです。矢野さんがそこをどう判断したのか、教えてもらえますか。ちなみに企業派遣だったんですか?それとも自費?自費の場合はどうやってファイナンスしたのですか?

矢野:私の場合、26歳の時にMBA留学したため、三菱商事の企業派遣制度に応募するのには勤務年数が足りませんでした。なので、会社を退職し、自費で留学しました。三菱商事には尊敬する先輩や優秀な同期が多かったので悩みました。でも、ニューヨークに送りだしてくださった広報部長に「チャンスはつかめ」とプッシュしていただきました。当時の北米三菱商事社長にも「世界を見るべき」と背中を押していただきました。それで、決意したのです。

留学費用は三菱商事の海外駐在時に貯めた貯金、ハーバード・ビジネススクールからの奨学金、両親からの借金、米シティバンクから借りた学費ローンのミックスでファイナンスしました。留学のコストパフォーマンスについてよく聞かれます。結局は、留学して何を得たいかによると思います。何の目的もなく留学した場合は、2年間の貴重な時間とお金の無駄だと思います。

私の場合、日本企業の東京、ニューヨークオフィスを経験した後、海外企業の本社勤務につながるチケットが欲しかったので、現地で評価され、採用されるために必要な知識、教養や人脈づくりに励みました。日本に限らず、世界で通用するスキルが何なのかがよく分からなかったし、世界各国のハングリー&アグレッシブな同世代と知り合い、仲良くなり、刺激をもらいたいと思っていたので、お金では買えない最高の2年間だったと感じています。

本当はバルセロナIESEに行くつもりだった
田村:あまたあるMBAの中でなぜハーバードだったのでしょうか?やはりトップブランドだからですか?たまたま?

矢野:たまたまです(笑) 北米暮らしが長かったので、留学をきっかけにヨーロッパで暮らしたいと考えていました。なので、バルセロナのIESEとロンドンのLBS(London Business School)の2校をピンポイントで受け
ようと考えていました。ただ、せっかく時間をかけてエッセイを準備したので、米国のビジネススクールも1校ぐらい受験してみようと思い、ハーバードに提出しました。これで、人生計画が大きく狂いました。

もともとは第1希望のバルセロナ校に合格し次第、会社を早めに退職し、数ヶ月ブエノスアイレスで暮らしてスペイン語をブラッシュアップして、バルセロナに向かおうと思っていました。でも、ハーバードに合格し、「チャンスはつかまなければ」と思いスペイン行きはやめにしました。 それでも当初の予定通りスーツケース2つでブエノスアイレスへ向かい、数ヶ月現地でスペイン語とアルゼンチンタンゴに明け暮れた後、ハーバードへ向かいました。

イスラエルへの研究旅行で「起業」に目覚める
田村:ハーバード・ビジネススクールの学長と話した時に「起業する人が実は少なくて残念なんだ。せいぜい全体の10%くらい。卒業生の多くは、てっとり早くお金を稼げる投資銀行やコンサルティング会社に行ってしまう」とおっしゃっていました。「起業する人はMBAコースには来ない」と言われています。矢野さんは起業するにあたってハーバード・ビジネススクールに行ってよかったですか?行かなければ今の起業はできなかったと思いますか?

矢野:ハーバードに行ってなければ、今の起業はしていません。そもそも、米系ブランドでマーケティングのインターンをしたり、米企業本社に勤務する経験を得たいと思っていました。起業しようと思った事もなかったし、憧れた事もありませんでした。ハーバードで起業について学ぼうとも思っていませんでした。 ところが、入学して4ヶ月後、「イスラエルがなぜ多くの起業家を生み出すか」をテーマとした研究旅行に参加しました。これが、現在に至るきっかけになったのです。

 

 

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2014年02月06日

こんな人生の歩き方  No1

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「このままでは甘ったれになってしまう」〜大手商社を辞めて踏み出す ハーバードMBAを取得した日本人女子がNYで起業  2012年8月30日
日経ビジネス  http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120827/236034/

今回はニューヨークで起業を目指す「なでしこ」、矢野莉恵さんを紹介したい。アメリカでの起業の中でも、ニューヨークで起業というのが新鮮だ。起業のメッカは今でも西海岸である。「シリコンバレー」から「シリコンアレー」(ニューヨーク)へ、メッカが移転していると言われるようになって久しいが、シリコンバレーの優位はいまだに揺らいでいない。矢野さんは、「ITとファッションの融合ビジネス」でニューヨークに切り込む。「資本主義の士官学校」と呼ばれるハーバード・ビジネススクールでMBAを取得。日本人ハーバードMBAホルダーで起業した人はたくさんいるが、女性で、しかも米国で、起業するのは、矢野さん以外に聞いたことがない。矢野さんに話を聞いた。

田村:ハーバードMBAを取得した日本人女子で、米国で起業したのは矢野さんが初めてだと聞いています。多くの若者、特に女性が関心を持つと思います。よろしくお願いします。まず、これまでのキャリアを教えてください。なぜ大学卒業後、商社に勤めたのですか?

矢野:父親が転勤族だったため、過去に20回以上、国境を超える引っ越しを重ねました。幼少時代はカナダ、アメリカ。いったん日本に戻ったものの再び海外へ。メキシコで高校を卒業した頃には、日本人としてのアイデンティティクライシスに陥りました。日本人なのに、日本の事を全く知らない。それが不安になり、大学はアメリカの大学ではなく、上智大学の比較文化学部に入学しました。 大学2年生の時、NHKのスペイン語ラジオ部門でバイトをし、英BBC放送でインターンを経験しました。

この頃、ジャーナリストになって、海外特派員として仕事したいと思い始めました。ところが、3年生になり、マスコミ企業を受験したら、すべて落ちました(笑)。筆記試験場に行くと、日本語の力を問う質問があります。四字熟語の穴埋めなど、全く答えられませんでした。マスコミをあきらめて普通の就職活動を始めました。この頃、商社のことを始めて知りました。大手商社で日本流ビジネスを学びたいと思い、三菱商事に入りました。日本の一流企業で社会人としての基礎をとことん学んだ上で、世界に出たいと思っていました。

マスコミをあきらめ三菱商事へ
入社後、広報部報道チームに配属されました。1年たったころ、部長との面談の時に「海外メディア対応がしたい」と希望を申し上げました。入社2年目の秋、米国三菱商事のトレイニー駐在(研修生として海外に駐在する勤務形態)としてニューヨークに渡らせてもらうことになりました。米国三菱商事では、同社社長の鞄持ち兼広報担当として、北はカナダ、南はチリやブラジル、アルゼンチンまで三菱商事の事業投資先の数々を訪問しました。

ニューヨーク滞在期間が終盤に入った頃、自分のキャリアについて不安を感じていました。ニューヨークで世界を体験できると思っていたのですが、米国三菱商事の幹部はほとんどが日本人で、重要なミーティングも全て日本語でした。米国にいるものの、実は日本企業の駐在員として守られた空間で仕事をしているのだと感じました。一方で、会社の外に出ると、ニューヨークは、トップを目指して世界中から戦いに来ているパワフルな個々人で成り立っていました。

そんなアーティスト、金融マン、ジャーナリスト、弁護士、シェフなどの知り合いに囲まれるうちに、「このままでは私は甘ったれになってしまう」と感じ始めました。当時は24歳。ちょうど米国人の同世代の友達がMBAへの入学を考える時期だったので、自然と私も留学を考えるようになりました。

 

 

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2014年02月05日

「ローン返済地獄」に陥るアメリカ人大卒者が急増!

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日本よりも辛い学生事情とは 2011年5月4日
http://youpouch.com/2011/05/04/184528/

大学を卒業するのは、ステータスでありアメリカンドリームのひとつでもあります。とはいえ、大学に行くには膨大なお金がかかるもの。特に多くのアメリカ人は、卒業後も苦悩が絶えないというのです。これは、いったいどういうことでしょうか。
5月4日に掲載された「yahoo.com」(英文)の記事によると、米国の私立大学の中には、学費が年間500万円近くかかることもあるというから驚きです。そのため、多くの学生が奨学金や学生ローンを受けて学費へと充てているのだそう。

ここまでなら、学生を助けるために不可欠なサポートシステムですが、将来深刻な問題に発展することも多いのだそうです。昨年のアメリカの大学卒業者は、なんと、平均240万円もの借金を抱えて卒業したそうです。実際に、記者の米国人の夫は、大学卒業後に約700万円もの学生ローンを抱え、月に約7万円もの返済をしなければなりませんでした。初めてこの話を夫から打ち明けられたときは、何かの間違いではないかと驚くと共に、今後の生活が不安で一杯になりました。

月に7万円の出費とは痛いものです。アメリカの4年制大学卒業者の平均収入は月約37万円。つまり、4年制大学を出れば、それなりの仕事に就いて、それなりのお給料をもらうはず。だからローン返済も可能なはずだ、というのです。
ところが、景気がわずかに回復してきたとはいえ、理想の仕事を得るのはまだまだ大変な時代。大学を卒業しても、思い通りの職業に就けないのは米国も同じです。

また、奨学金の返済は、早く返せば返すほど利子は安くなり、逆に長い期間を費やすほど高くなります。そして、さらに追い討ちをかけるかのように、学費は年々値上がりする傾向に。このため、多くの若者が、学生ローン返済地獄へと陥っているのです。「人生のための投資」といえば聞こえは良いですが、高収入が見込める企業に入れなかった場合、悲惨な状態になることも想定しなければなりません。

例えば、「未だに学生ローン返済が終わっていないのに、自分の子供が大学へ進学することになったとしたら」「新しく家族を持ったり、会社を創設するなど、ほかに投資しなければならないことが増えてしまったら」……などと、懸念は募る一方です。多額の借金を背負って社会に出た若者たちの苦悩は、ひと昔前の世代と比べるとまったく別のものになっているようです。

*************
・サブプライムに隠れて問題にされないが、学資ローンはアメリカにとって深刻な社会問題  なのだ。一番問題なのは、学生の4分の3が学資ローンを抱えていると言うこ
と。

・年々学費は高騰するが、高等教育を望む若者は増え続けている。何故なら・・アメリカで は、高卒の人間がつける職業はマックの店員のような時給で働く仕事しかないからだ。

・家を手放しホームレスになれば解放される住宅ローンと違い、学資ローンは借り手が死亡  した後もまだ追いかけてくるのだ。

米国の若者が抱える学生ローンの重荷 http://toyokeizai.net/articles/-/15230

 

 

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2014年02月04日

奨学金返済苦問題 No4

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大学時代に「遊んでいた」大人が奨学金延滞者を笑うという筋違い
また、取材中に山本氏が口にしたこんな言葉が気になった。 「全国に800校近くある大学のうち、学力上位校はほんのひと握り。学力下位校は、高校卒業段階で就職先が見つからない高校生、言い換えれば『18歳の失業者』の受け皿になっているという見方もできます。資源のない日本で人材を『人財』にしていくために大学進学率が上がるのは良いことだと思うし、そうでなければ今後グローバル化する社会で日本が現在の生活レベルを維持していくことは難しいかもしれない。

一方で就職できないから“仕方なく”借金をして大学に行き、大学卒業人材に相応しい力をつけられないまま卒業し、結局雇用からあぶれてローンを返済できない状況に陥る若者は悲劇です。このような状況が続くならば、大学進学以外の選択肢をつくることも国は検討しなくてはいけません」国内の大学を海外の大学と比較して「学生が勉強しない」とは、よく言われることだ。世界の大学ランキング(タイムズ・ハイヤー・エデュケーションが2013年10月に発表)で、日本の最高学府である東大は23位。アジアの中ではトップだが、先進国の中で比べれば、高いとは言えない。

先日、ツイッターで「高卒と大卒を半々くらい採用しているメーカーの人に高卒と大卒の違いを聞いたら、『高卒の子の方が朝に強い』という返事だった」という内容のツイートが、3000回以上RTされていたのを思い出す。また、「大学に行って良かったことは?」という問いに、苦笑しながら「4年間遊べたこと」と答える社会人を何度か見ているが、こういった現状はそろそろ笑えないことだと感じる。

就活失敗、非正社員増加、収入低下 想像以上に根深い奨学金返済苦問題
奨学金を返還しない人のことを、「借りたものを返すなんて、幼稚園児でもわかることだ」と批判することは簡単だ。ただし、大人がそれを言うのであれば、「大学は遊ぶところ」「大学で遊んでいても就職できる」と若者に思い込ませているような状況も、変えていくべきだと感じる。また、ただでさえ日本は格差社会化している。リーマンショック後の長引く不況の影響により、企業の雇用・賃金状況は悪化の一途を辿ってきた。

足もとではアベノミクスの光明も見え始めたが、それが日本企業全体の雇用改善・賃金上昇につながる見通しはまだ立っていない。有名大学を卒業しても就職できない者、賃金の安い派遣社員にしかなれない者、そして賃金カットで収入が減る者。そんな苦境に立たされる若者たちが、そう簡単に減るとも思えない。彼らにとって奨学金の返済は、まさしく大きな将来不安要因となるだろう。

そうした状況も考え併せると、奨学金の返済苦は想像以上に根の深い問題だと改めて感じる。奨学金に関する問題は、日本の未来を賭けた重要な課題だ。今後も状況を注視していく必要がある。

 

 

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2014年02月03日

奨学金返済苦問題 No3

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ところが現実には、企業の人材ニーズが低い大学もあるため、中には卒業時に就職が決まらず、奨学金の返済に苦慮する人もいると思われる。大学の広報部が学生を集めるためにPRを行うことは当然だろうし、有名でない大学こそ、PRに力を入れないと学生が集まらない。2011年に文部科学省が発表したデータによれば、国内の大学数は780校(国公立181校、私立599校)で、1985年(国公立129校、私立331校)と比べてかなり増えていることがわかる。

少子化の一方で大学が増えれば、大学はその分集客に力を入れなければならなくなるのは当然だ。そのなかで、受験生にとって「わかりづらいデータ」の提示を余儀なくされるケースも出て来るのだろう。もちろん、全ての大学がそうではないだろうが、受験生はこうした現状に対して注意が必要だろうし、そうした背景があるとすれば、奨学金返済苦の学生を全て「自己責任」と断じるのも酷だ。

「教育機関である大学が発信する情報を信用できないと、高校生は考えるでしょうか。大学は公共機関ですから、高校生に向けて発信された大学の情報が信用できない社会で、公共心を持った人材が育つとは思えません」(山本氏)
取材中、奨学金の問題について社会人から意見を聞く中で、「将来の自分が奨学金を返せるかどうかを予測できない若者は甘いのではないか」という声も耳にした。確かにそうなのかもしれない。

だが、全ての高校生が、大学卒業後の自分の職業や年収、生活状況を想定できるか、4年後の日本の経済状況を予測できるのか。また、卒業と同時に数百万円の「借金」を背負ってそれを毎月返していくことが、精神的にどれほどの負担になるかを想像できるだろうか。奨学金を大学生全体の半数が借りるという状況があるならば、少なくとも「お金」に関する教育を義務教育や高校段階でもさらにきちんと行うべきだろうし、奨学金返済苦に陥る学生がいるならば、そのリスクは知らされるべきだ。

たとえば、「日本学生支援機構が奨学金返還率などのデータを、男女別や入試形態別に分けて大学・学部ごとに公表することも、1つの策かもしれません」と山本氏は言う。特定の大学や学部を批判に晒すことになるかもしれず、判断は難しいだろうが、入学時に奨学金を借りる側からしてみれば、「自分が将来、奨学金を返していけるのかどうか」を自分で考える目安となる。

 

 

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2014年02月02日

奨学金返済苦問題 No2

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未返還額は10年間で267億4300万円から723億2900万円へ増えているが、これは要返還額(貸した額)が、1369億1900万円から3557億6200万円に増加しているからである。日本学生支援機構は、2011年度の「返還促進策等検証委員会報告書」で、2013年度までの目標返還率を82%以上と設定している。目標返還率は82%以上。これを高いと見るか低いと見るかは人によって異なるかもしれないが、返さない、もしくは返せない状況にある人もいることは事実である。

また、昔と違って正規雇用や終身雇用が減りつつある現代のなか、返済できない状況の人が増えることも考えられる。同じく日本学生支援機構の調査「奨学金の延滞者に関する属性調査結果(2010年度)」では、延滞者の71.4%が年収200万円未満であり、年収300万円以上での延滞者は10.8%だった。年収が300万円台に到達するか否かが、延滞者になるかどうかの分かれ目のようだ。

2012年10月に日本経済団体連合会が発表した「2012年3月卒新規学卒者決定初任給調査結果」によれば、大卒者(事務系)の平均初任給は20万7585円。賞与や2年目以降の伸び幅にもよるが、たとえば地方から上京して1人暮らし、年収300万円で親からの援助もない人のケースを考えると、月額2万円程度の返済であっても負担は大きいと想像できる。そして昔と違うことは、現代は「年次が上がるに連れて給料が右肩上がりになる」「定年までこの企業に勤めていれば安心」と簡単に信じられる時代ではないことだ。

2010年度の調査で、奨学金を受給している学生の割合は大学生(昼間部)で50.7%、大学院修士課程で59.5%、大学院博士課程で65.5%となっている。奨学金利用者は、決して少数派ではない。では、若者が返還できない状況に陥るのはなぜなのか、どうすれば返還率を今後上げていけるのか。

学生集めに苦心する大学のPR策 公表される「高い就職率」の裏側
『つまずかない大学選びのルール』(ディズカバー・トゥエンティワン)などの著書を持つNPO法人NEWVERYの理事長・山本繁氏は、自身のブログで「奨学金で人生を台無しにしない大学選び8つの鉄則」という記事を書いている。鉄則の5つ目に「就職実績を批判的に見る」という項目がある。なぜ、就職実績を批判的に見ることが重要なのか。たとえば、大学パンフレットに「就職率が95%以上」というデータが載っていたとしたら、多くの学生は「95%以上が就職できるなら、この大学に入った自分も、よほどのことがない限り就職できるだろう」と思うだろう。

ただしこの就職率の算出方法は、「卒業者数を母数にして算出した就職率」ではなく、「就職希望者数を母数にして算出した就職率」になっていることがあるという。 「大学側は『この大学に入れば安
心』『就職率の高い大学です』というアピールをしている」と山本氏。ここに受験生にとっての「落とし穴」がある。高い就職率をPRする大学に魅力を感じ、「就職できる」前提で奨学金を借りて、入学してしまう学生が多いのだ。

 

 

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2014年02月01日

奨学金返済苦問題 No1

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DIAMOND 2014年1月24日 http://diamond.jp/articles/-/47631

小川たまか [編集・ライター/プレスラボ取締役]1980年生まれ。立教大学大学院文学研究科卒。大学院在学中からライター活動を開始。 フリーランスとして活動後、2008年から株式会社プレス
ラボ取締役。「日経トレンディネット」「サイゾー」などで執筆。

借りたカネを返さない若者は怠け者か時代の犠牲者か 批判を浴びる「奨学金返済苦問題」に潜む本質的課題
日本学生支援機構(旧日本育英会)が学生に支援する「奨学金」に関する問題が、話題となっている。産経新聞の取材によれば、奨学金返還訴訟は8年間でなんと約100倍(58件から6193件)にまで増えているというのだ。メディアで「奨学金を返せない」と嘆く学生・社会人の姿がたびたび報じられる一方で、若者に対して「自己責任では」「借りたものを返す自覚が足りないのでは」という厳しい声も上がる。「奨学金返済苦問題」の背景には、いったい何があるのか。

その背景をリサーチすると共に、本質的な問題を解決するための策を考えてみたい。(取材・文/プレスラボ・小川たまか)

「学費の返済なんて無理ですよ!」 奨学金返済苦に嘆く若者たちの声 最近、ネット上の一部で話題になった動画がある。 「無理ですよ!学費の返済無理ですよ!」 こんな声と共に、
奨学金問題についてデモを行う若者の姿を報じた、毎日放送のニュース番組だ。「奨学金は返せないのか、返さないのか」と冒頭で問いかけ、返せない若者の現実をリポートしたものである。

実は、この番組が放送されたのは数年前であり、YouTubeに違法アップされたのも2009年2月のこと。だが、今年1月になってこの動画をある動画サイトが紹介したことで拡散。サイト上で「『返せない…』滞納が生む負のスパイラル、そしてビジネス化していく奨学金制度」というタイトルがついたこの動画を、最近放送された番組だと思って見た人も多いだろう。そう思わされるほど、「奨学金返済苦問題」は最近も繰り返し報じられている。

特に、産経新聞が昨年11月に報じた内容はショッキングだった。2004年に58件だった奨学金返還をめぐる訴訟が、2012年には約100倍の6193件になったというのだ。 「奨学金返済難民」は、なぜこれほど増えている
のか。今回は、「奨学金返済苦」に陥る人々が増えている背景をリサーチすると共に、問題解決のための策を考えてみたい。

実は奨学金返還訴訟は増えているが奨学金の返済率は減っていない
まず、「奨学金滞納問題」の背景から説明しよう。前述の「2012年までに約100倍」というデータは、単純に返還しない人が激増したということではない。行政改革によって日本育英会が日本学生支援機構に引き継がれ、「金融事業」と位置づけられたため、回収を強化せざるを得なかったという見方がある。事実、ここ十数年で奨学金の未返還率が著しく増加しているというデータはない。

日本学生支援機構が2010年に発表した「奨学金返還回収状況について」によれば、1998年度の返還率は80.5%で、2008年度は79.7%(第一種奨学金と第二種奨学金の合計)。

 

 

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