2014年01月31日

MBA留学は本当に人生を変えるか?  No4

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■ 中国や韓国の企業は、"貴重なお客さん"
それに比べて、躍進しているのが、韓国人と中国人だ。コロンビアには、それぞれ、1学年、20人から30人在籍していて、大グループを形成しているという。ウォートンでも、韓国人が約20人、中国人(台湾・シンガポール・香港含む)は50人ぐらい在籍しているそうだ。確かに11年のGMAT受験人数(国籍別)を比較しても、中国は日本の16倍で約4万人、韓国は2倍で約5000人。1学年20人から30人と言えば、1980年代後半から90年代初頭の日本人留学生の数に匹敵する。今は中国と韓国がビジネススクールバブルを迎えているのだろうか。

「韓国人の留学生はサムスン、LG、ヒュンダイなど、大企業からの社費留学が多いですね。卒業後のことを考えなくていい分、よくゴルフをしたりしてのんびりした雰囲気です。韓国人コミュニティの中だけにいて、あまりクラスメートとも交流がない人もいます。バブルの時代の日本人留学生って、こんな感じだったのかなと想像することもあります」(浅原さん) 米ブルームバーグ・ビジネスウィーク誌(オンライン版)は、10年3月11日付けで、「Why MBAs are Going East」という特集記事を掲載し、アメリカのビジネスス
クールの学生が、「成長するアジア企業」に活躍の場を求めて、あえて中国や韓国の企業に就職する様子を伝えている。

記事によれば、韓国サムスン電子は09年、米トップビジネススクールから50人もの学生を採用している。韓国人学生を除いて、50人である。中でも、ノースウェスタン大学ケロッグスクールからは、16人も採用したのだという。学生の就職率や就職後の初任給は、ビジネススクールの評価やランキングに大きな影響を与える。中国や韓国の企業は、卒業生を高給で採用してくれる、貴重なお客さんなのだ。

「授業でも、中国4大銀行の躍進や、サムスンのグローバル経営戦略など、今、学ぶべき事例として取り上げられることが多いですね。残念ながら、日本企業の事例は、トヨタのオペレーション戦略など、かなり昔の事例が取り上げられています」(川本さん)。確かに、過去10年で売上を3倍以上に伸ばしたサムスン電子(01年約3兆円から11年約11兆円)に比べれば、日本企業に元気がないのは否めない。ビジネススクール側からすれば、寄付金も採用数も減っている日本から学生を採用するよりも中国や韓国から、というのは、当然なのかもしれない。

■ 日本代表選手が"孤軍奮闘"
現在、トップビジネススクールに在籍している日本人留学生は、この厳しい状況の中で、合格を勝ち取った「エリート中のエリート」だと言える。取材を始めてみて、見えてきたのは、クラスに1人、あるいは学年に1人の日本人として孤軍奮闘する日本人留学生の姿だ。ビジネススクールの教室は、通常、教壇を座席が扇形に囲む劇場のようなつくりになっていて、教壇からは、全学生の顔と名前が見えるようになっている。

アメリカのビジネススクールの場合、1クラス60人から90人ぐらいで構成され、60%から70%が北米出身者、10%から15%がアジア人、10%がヨーロッパ人だ。国連やオリンピックさながらのクラスの中で、日本人は1人。クラスメート全員が、その日本人を通じて「日本」について学ぶことになり、留学生はまさに日本代表選手としての"活躍"が求められる。

前出の笹本さんは言う。
「90人のクラスで日本人は僕1人。ハーバードでは日本企業の事例を扱うことは、いまだに多いんです。日本から貪欲に学ぼうとする89人のクラスメートたちに、自分の実体験を交えながら、ケースでは表現しきれていない日本企業や日本の経営手法の価値をしっかりと伝えていくことが、僕の役割の1つではないかと思っています」

 

 

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2014年01月30日

MBA留学は本当に人生を変えるか?  No3

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「学校を挙げて、起業やソーシャルビジネスを推奨しているのでは、と思うほど、力を入れていますよね。ウォートンでは、僕が今参加している特別プログラムもそうですが、面白い起業アイデアには指導教官や資金も提供され、在学中、すぐに起業できるような環境が整っています。また、スタートアップ企業との共同プロジェクトも数多くありますね」就職先にも変化が表れている。私が留学していた頃に最も人気があったのは、投資銀行だった。

それがすっかり鳴りを潜め、今や、起業する人や、ソーシャルビジネスを始める人が、「かっこいい」のだそうだ。「ハーバードでは、『目先の給料のよさに惑わされず、自分が本当にやりたいこと、世界にインパクトを与えられるようなことに取り組みなさい』ということを繰り返し、教え込まれます。『夏休みにどこでインターンやった? 』と学生同士で報告し合ったときも、話題の中心になるのは、やはりスタートアップ企業での体験で、投資銀行でインターンとして働いた友人は、少し肩身が狭そうにしていましたね」と笹本さん。

前出の川本さんも、次のように語る。「コロンビアでは相変わらず金融系に就職する人が多いですが、それでも、以前に比べると減っていると思います。全体的に給料が下がっているのに、依然としてハードワークなところが、人気が下がっている原因ではないでしょうか」 カリキュラムや就職先が世界経済の趨勢に応じて、変わっていくのはもちろんのことだが、驚くべきは、日本人留学生の数の減り方だろう。ハーバードの日本人学生は、1学年、笹本さんを含め全部で7人。

900名中7名だ。日本人学生が比較的多いことで知られていたウォートンでさえ、840人中、日本人は浅原さんを含め4人。コロンビアに至っては、11年9月に入学した日本人は、550名中、川本さん1人しかいない。

■ クラスに日本人はたった1人
その他のトップビジネススクールの学生に聞いてみても、日本人留学生(日系アメリカ人などは除く)の数は、だいたい1学年に数人から10人程度。日本のGDP(世界第3位)を考えれば、信じられないぐらいの少なさだ。私が留学していた10年前に比べても、半分ぐらいの人数ではないかと思う。実際、欧米のビジネススクールを受験する際に必須となっているGMAT試験の日本人受験者数の推移を見てみても、02年に、延べ5620人だった受験数が、11年は2518人と半分まで落ち込んでいる。

GMAT試験を運営しているGMAC(Graduate Management Admission Council)は、日本人受験者数の減少について、「日本では、ビジネススクールを受験する世代の人口(20代後半)が少なくなっているからだ」と説明している。
しかし、それだけで、10年前の「半分」にはならないだろう。日本企業が社費留学制度をなくす傾向にあること、円高とはいえ、高額な授業料(ハーバードビジネススクールの2年間で、約11万ドル=900万円)が、私費留学を志す人の足かせとなっている。

さらに、出願しても「受からない」という現実がある。コロンビア大学ビジネススクールで、550人中たった1人の日本人として奮闘する川本さんは、次のように語る。「入学して最初の学生同士の飲み会は、ちょっと苦痛でしたね。自分から積極的にアプローチしないと知り合いさえもできない状況でした。あまりに日本人が少ないので、コロンビアの入学担当官に原因を聞いたことがあります。いろいろと理由はあるかもしれませんが、僕が受験した年、そもそも3人の日本人にしか合格を出していなかったことがわかり、驚きました。日本人の英語力が相対的に低いのも、合格を出しにくい理由の1つかもしれません」

 

 

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2014年01月29日

MBA留学は本当に人生を変えるか?  No2

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■ 生き方のグローバルスタンダードを学ぶ
今、書店では「人生を変える本」と、ハーバード大学などアメリカの名門大学の授業を紹介する「白熱教室本」が、人気を呼んでいる。「日本を変えたい」「自分を変えたい」と思う意識の高い日本人の方々が、一流の大学から「生き方のグローバルスタンダード」を学びたいと思っている証しではないかと思う。こうした読者に向けて、「実際、『白熱教室』や『MBA留学』がどのように日本人の人生を変えるのか」をお伝えしたいと思ったのが、この連載を始めようと思ったきっかけだ。

白熱教室で人生が変わるかどうかは、結局、「授業を受けた人がそれをきっかけにどのように変われるか」にかかっているからである。現在、欧米のトップビジネススクールには、まさに「人生を変えつつある」日本人留学生たちが、日本代表として奮闘している。そこでこの連載では、ハーバード、スタンフォード、コロンビア、ウォートン(ペンシルベニア)など、トップビジネススクールの日本人留学生を取材し、「MBA留学が人生をどう変えるのか」、留学生の成長記録を現在進行形でお伝えしていきたい。

■ 金融はもはやメインストリームじゃない? 
自分が留学していた2000年ごろと、ビジネススクールはどのぐらい変わっているのか? 早速、コロンビア大学ビジネススクールの日本人留学生、川本暁彦さん(36)に取材をしてみた。まず、授業について聞いてみると、私が留学していた頃に人気だった授業は、ほとんど残っていないとのことだった。「コロンビアでは、バリュー投資関連の授業が人気を集めていて、名物教授のブルース・グリーンウォルド教授のLegends in
Value Investing(バリュー投資・上級編)は、やはり人気がありますね。ウィリアム・ダガン准教授のNapoleon’s Glance(ナポレオンのひらめき)も、学生から高い評価を得ています)(川
本さん)。

グリーンウォルド教授の授業内容については、『競争戦略の謎を解く』(ダイヤモンド社)や『バリュー投資入門』(日本経済新聞社)、ダガン准教授の授業は『戦略は直観に従う』(東洋経済新報社)に詳しい。「コロンビア白熱教室」として11年にNHKで放映され、話題になったシーナ・アイエンガー教授の『選択の科学』の授業は、テレビ放映用の特別講義で、通常のカリキュラムにはない授業。コロンビアに入学しても、残念ながら、あの白熱教室は存在しない。12年現在、アイエンガー教授は、エグゼクティブMBAプログラムでリーダーシップを教えている。

ハーバード大学ビジネススクールに留学中の笹本康太郎さん(33)は、ハーバードでは、リーダーシップやマネジメントの授業に加え、アントレプレナーシップ(起業家精神)、新興国ビジネス、ソーシャル・ビジネスの授業などが、人気を集めていると言う。「2010年に新しい学長が就任してから、カリキュラムの改革が行われています。ハーバードといえば、ケーススタディ(実際、企業が直面した問題や事例を元に、学生が議論する授業)が有名ですが、昨年から、実践的なフィールドワークを取り入れた授業が必修になりました。

たとえば、『学生が新興国を訪れ、コンサルティング業務などを通じて、現地のビジネス環境を直接学ぶ授業』や、『3000ドルを元手に小規模なビジネスを起業し、ベンチャーキャピタルからの評価を競う授業』などです」(笹本さん)。
ペンシルベニア大学ウォートンスクールの浅原大輔さん(33)は、現在、ウォートン・サンフランシスコ校で、4カ月間の特別プログラムに参加している。アントレプレナーシップに興味がある人たちが選抜され、西海岸で集中して、起業家精神やベンチャーキャピタル業務などを学び、実践する。

 

 

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2014年01月28日

MBA留学は本当に人生を変えるか?  No1

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東洋経済オンライン 12月1日
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20121201-00011908-toyo-soci

世界最難関の経営大学院、スタンフォード大学ビジネススクールのミッションは、“Change
Lives, Change Organizations, Change the World”。世の中を変え、組織を変え、そして、世界を変革するグローバル人材を育成する。このミッションが象徴するように、欧米のビジネススクールでの学びや経験は、学生、特に留学生の人生を大きく変えると言われている。私自身、2000年にコロンビア大学ビジネススクールに留学し、自分の人生が変わるのを実感した一人だ。

7年間勤めたNHKを退職し、多額の教育ローンを背負いながらの留学だった。背水の陣で、「MBA留学」に人生を賭けて挑んだのである。その結果、自分の価値観が全部入れ替わるような、強烈な体験をした。投資額以上のリターンを得たと言ってもいい。過去の成功体験なんか通用しない、自分が成長し、変わり続けることでしか、グローバルリーダーにはなれないことを、留学して初めて知った。ビジネススクールは、まさに「世界中から集まってきた学生たちから発せられる強烈なエネルギーのパワースポット」。

友人たちのエネルギーに圧倒されながらも、目標に向かって前向きに、主体的に、かつ謙虚に学ぶことの大切さを学んだ1年半だった。

■ MBA留学で何が変わるのか? 
日本に帰国後、世界的な経営コンサルティング会社、ボストンコンサルティンググループ(BCG)に就職した。在職中、「多くの日本人にMBA留学に挑戦してほしい」と思い、自らの留学体験記を単行本『ゼロからのMBA』(新潮社)にまとめ、出版させていただいた。その後BCGから、外資系テレビ局に転職。今年から独立して、仕事をしている。現在も、コロンビア大学ビジネススクールの入学面接官を務めたり、MBA留学関連のセミナーや説明会に参加したり、ビジネススクールとのかかわりは深い。

ビジネススクールの卒業生として、MBA留学に挑戦している人たちから、最もよく聞かれる質問が「MBA留学で何が変わりますか? 」という質問だ。その質問について、私は「まず人生が変わる」と答えることにしている。間違いなく、留学前と留学後で、私の人生は大きく変わったからだ。留学しなかったら、外資系企業で働くこともなければ、起業しようと考えたりすることもなかったはずだ。何より視野が広がり、世界がこんなに近く感じることもなかっただろう。

外資系テレビ局で働いていたとき、アメリカ本社と日本支社、両方の視点から、自分の仕事や役割を見ることができたのは、MBA留学のおかげだ。 経営コンサルタントがよく言う「アリの目、タカの目」の「タカの目」を身に付けることができたとも言える。それまでは、NHKの一人の取材者の視点で、NHKや日本や世界を見ていたのが(アリの目)、留学後は、アメリカ本社のグローバル経営の視点から、俯瞰で物事を見ることができるようになった(タカの目)。

会社組織に例えれば、社員として「局所最適」で仕事をしていたのが、経営者の目から会社を、自分の立場を、俯瞰で見ながら、「全体最適」を目指して、仕事をするようになったと言える。「会社を起業し、社会に貢献する人が尊敬される」ことも知ったのも、留学時代だ。ビジネスを創り出し、雇用をもたらし、儲けを社会に還元する起業は、グローバルエリートの世界では「最も価値あるもの」。コロンビア大学ビジネススクールの同級生の多くが、起業に挑戦し、現在は経営者となっている。

 

 

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2014年01月27日

ハーバード・ビジネス・スクールはなぜ凄いか  No11

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IBMやキヤノン、電通、JTB、ホンダをはじめとする大手企業や、JICA、JETRO、国連環境計画などの国際機関ほか、埼玉大学や早稲田大学、各国駐日大使館など多岐にわたる組織と連携して、生徒の視野を広げる活動をしています。 東京都では、都独自の「次世代リーダー育成道場」プログラムを今年度から開設し、都立高校生150人(長期100人、短期50人)を対象とした国内外でのグローバル人材育成研修を実施します。

まず国内で事前研修として、日本の伝統文化を学びつつ、英語による講義や各界の著名人などの講演を通して、海外で通用する英語力や広い視野を身につけ、果敢に挑戦する意欲を醸成します。 その後の1年間の海外留学では、主に米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドのいずれかの都市にてホストファミリーとの生活や現地の高校での学習に加え、大学や研究機関などでの課題研究やインターンシップなど、異なる文化や生活習慣の中で様々な学習や体験を行わせます。

大阪府では、「大阪府国際化戦略アクションプログラム」の一環として、様々な施策に取り組んでいます。例えば「おおさかグローバル塾」では、自らの意思を海外で十分に伝えられるよう、英語で日本や世界の歴史・文化・制度などを学ぶとともに、文書作成能力やディベート力、プレゼンテーション力を磨く研修をしています。 そして「留学体験プログラム」では、今後3年間で300人派遣を目指し、海外の大学で授業を体験させるほか、現地の生活情報などを学ぶ短期研修を実施します。

また、「留学・海外研修への助成」として3年間で留学生300人と海外研修400人を目指し、府内の高校や大学等が推薦する生徒・学生を対象に、留学費用の一部を助成する施策も打ち出しています。福岡県では昨年度から海外の高校に1年間留学する生徒40人を対象に、最大50万円まで経費の半額を支給する制度を始めました。佐賀県は、半年以下の留学には10万円、半年以上の留学には50万円を助成する制度を作っています。

ハーバードの授業を日本でも体験できる
今年の8月には「H-LAB 2012 Summer School of Liberal Arts」という、高校生80人を対象に現役のハーバード大学の学部生が教養講座を教える1週間のサマースクールが開催されます。 「神経科学の観点から脳を科学する」「17世紀後半のフランス哲学」「世界の神話の比較と異文化の反映を読み解く」「ビール醸造業から見たパレスチナ問題」など様々で、ハーバード大学の1年生用ゼミを模したものとなっています。

実はこのプログラム、元々は日米の学生らがボランティアで結成した実行委員会が、ハーバード・カレッジ・ジャパン・イニシアチブ(HCJI)と連携して企画運営しています。 実際のプログラムは20人のハーバード大生と日本側大学生スタッフ30人ほどで進行されます。昨年8月に第1回目を実施したこの取り組み、既に今年の2月時点でハーバード大生80人から応募があるほど注目を集めています。

昨年参加した生徒からは「海外に行ったこともないのにハーバード大学の学生と直接話ができるなんて夢のよう」「授業の広がり感が日本とは全く違う。世界は広いと実感した」など感動の声に溢れています。昨年はほとんど宣伝せずに約4倍の倍率だったようで、今年も締め切りが間近ですが、狭き門にチャレンジする生徒がたくさん出てきそうです。

 

 

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2014年01月26日

ハーバード・ビジネス・スクールはなぜ凄いか  No10

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応募殺到、ハーバード大の日本開催サマースクール どうすればグローバル人材の育成ができるのか(5) JB Press 2012.05.29(火) 村田 博信

以前もご紹介しましたが、政府は平成20(2008)年に「留学生(受け入れ)30万人計画」という、2020年までに年間30万人の留学生を受け入れる施策を策定し、それなりの予算を割り当てて取り組んでいます。

送り出しは「和僑」につながる
一方、送り出しについては後手に回っていることが否めず、もっとその必要性が社会に認知されるべきだと思います。例えば、「井の中の蛙」状態で平和ボケした人材よりは、海外で揉まれて帰国した人材の方が、あふれるバイタリティで日本を元気にしてくれるでしょうし、仮に海外で就職したり起業したとしても、利益を日本へ還元することで国益につながります。 いわゆる「和僑」として、限りある国内市場ではなく海外の大きな市場で稼いで日本へバックするという発想も大切だと思います。韓国などはまさにそういうスタンスです。

政府は「留学生30万人計画」に取り組んでいる
実は送り出し施策についても、あまり知られていませんが、受け入れ策同様に「30万人計画」なるものが平成22(2010)年の国家戦略として「新成長戦略―21の国家戦略プロジェクト」の1つに盛り込まれています。ただし若干ニュアンスが異なり、2020年までに実現すべき成果目標として「日本人学生等の海外交流30万人」と抽象的な表現になっています。それと併記されている「外国人学生30万人受け入れ」とは温度差を感じますが、それでも政府が送り出しを推進する姿勢を明確に表したことは大きな進歩と言えます。

その兆しとして、送り出しに関する平成24(2012)年度の予算案は約81億円となっています。主な内訳は大学における「グローバル人材育成推進事業」50億円(平成24年度新規)、「日本人学生の海外留学の推進」31億円です。
海外で市場開拓できるタフな人材を育成するために、若いうちに海外を経験させておくことは大きなアドバンテージになります。人材育成では経験が最も重要ですし、特に異文化の受容、適用能力は30代を超えると一気に落ちると言われています。

飛び出せ高校生!
自治体でも送り出しを促進する様々な取り組みがなされるようになりました。例えば高校生向けを対象としたところでは取り組みが活発です。埼玉県では、昨年からグローバル人材育成事業の一環として、米国のハーバード大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)などを10日間にわたって訪問するというプログラムを始めました。現地では大学や高校の授業を見学したり、教授や学生との交流を図ります。初年度は30人の定員に118人の応募があったようです。

さらに同県では、「埼玉発世界行き」奨学金支給事業という支援策も推進しています。これは、海外の高校へ3カ月以上留学をする生徒に対し、県の助成を通じて世界に向かってチャレンジする志を支援し、埼玉県の国際化に貢献する人材の育成を図るもので、保護者の所得や留学期間に応じて15万〜60万円の助成金が支給されます。また、「高校生世界へはばたけ!育成塾」では、国際的な視野を養い、国際人として成長するきっかけづくりとするため、世界の第一線で活躍する社会人や留学経験者などによる講演会を高校や中学校等で開催しています。

 

 

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2014年01月25日

ハーバード・ビジネス・スクールはなぜ凄いか  No9

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「HBSは、学生にしっかりした授業を行い、しっかりとした学生を育て、将来リーダーとなれるようにするというミッションに沿って行動をしていると思います。いわゆるミッションドリブンを実践しています。日本の大学はそれぞれミッションをしっかり見直して、それに沿った活動と行動をしているかを根底から検討すべきだと思います」また、米国では学生による教員の評価も徹底していますが、日本では簡単に良い成績をつけてくれる教員が評価されるため、この仕組みは上手く機能していないという問題もあると思います。

さらに、授業外についても例えばハーバード大学は1学年1400人ですが、論文の読み方、書き方などは先輩がチューターとして後輩に教えます。しかも全員寮に住んであらゆる面で先輩が後輩をケアするハウス制度と呼ばれるシステムがあります。 もちろん学生数の規模の違いもありますから全く同じことが日本でできるというわけではないと思いますが、工夫すればもっと学生のケアを手厚くすることはできるはずです。

以前京都大学へ通っていた中国人の女性は、勉強しない日本の学生が多くてがっかりしたと言っていました。大学の卒業基準や学生の勉強意識が低いことが大きな要因だと思います。いい大学に入学することがゴールとなっている現在の社会構造を抜本的に変える必要があります。 それでも少しずつですが、変革が見られます。例えば立命館アジア太平洋大学(APU)などは学生の半分が留学生で、レベルの高い授業や手厚いサポートをしています。

私の知人の娘さんがAPUに通っていますが、入学して1年間で論文能力が見違えるように上がったそうです。また、秋田国際教養大学の学生も非常に優秀で、多くの企業がわざわざ説明会を秋田で行うほどです。そして東大が国際化を積極的に進めることは社会にとって大きな意味を持つでしょう。この点について佐藤所長は次のように説明します。 「今の東大総長は革新的な思考の持ち主で、東大初の女性理事に江川雅子さんを登用しましたが、実は彼女はHBS日本リサーチセンターの立ち上げに関わった前所長で、3年前に私が引き継いだという経緯があります」

将来はハーバード・ビジネス・スクールの授業を東京で
「HBSだけではなくアメリカの他のビジネススクールでも日本のプレゼンスがどんどん低くなっています。私はHBSの卒業生で同窓会の副会長でもありますが、他校の同窓会の役員と話していても、それをつくづく実感します」 「なんとか日本のプレゼンスを上げるために、このセンターからHBSへどんどん情報を発信し日本のケーススタディを増やすとともに、日本にも学びのニーズがあることをアピールし、将来は東京でも企業幹部向けのプログラムを提供したいと思っています」

佐藤所長が言うとおり、近い将来、東京でもHBSの授業を受けられる日が来ることを、私も切に願います。

 

 

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2014年01月24日

ハーバード・ビジネス・スクールはなぜ凄いか  No8

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学生、教員、そして企業も貪欲さが足りない
2010年にハーバード大学の総長が来日した時、「現在の学部1年生で日本人はたった1人。受験者数が減っているのは日本だけ」と残念がっていましたが、日本人の若年層の内向き志向を物語っている気がします。佐藤所長によると、日本からの出願数自体が少ないとのこと。3年前のデータでは年間70〜80人だそうです。それに対してインドや中国は各々が700〜800人ぐらいと、10倍の差があります。

日本人の方がある程度絞って出願しているという傾向があるため、合格率は自然と高くなるようですが、それにしてもトライしようとする絶対数自体が少なければ入学者数も増えません。 しかし最近は、日本の高校生にとって海外の大学へ進学するという選択肢も徐々に広まりつつあります。ルートHという、ハーバード大学進学を目指した予備校ができたり、この連載でも以前にご紹介しましたが、ハーバードの学生が日本で高校生対象にサマースクールを実施したりしています。

また、私が2009年度に文科省の高校生留学支援プロジェクトに関わった際には、支給金の説明会を開いても教員の参加者が少ないなど、先生側の意識が低かったのが印象的でしたが、ようやく文科省も教員の海外研修に予算を充てて今年から試行的に実施を始めました。 留学などに関する教員の理解が深まれば、当然学生も影響を受けるわけですから海外を目指す学生も増えると思います。

行政も、大学や企業も様々な国でどんなことが起きているかをもっと貪欲に知り、オープンマインドでいいものを取り入れていくようにしないといけません。資源が乏しい日本にとって唯一の財産は人材なのですから、それが国際競争力をなくしたら世界に太刀打ちできません。 「ハーバードの日本人大学院生が言っていましたが、日本の大学に留学する外国人は国の税金でサポートしているのに、私には何のサポートもありませんと。

さらに、ある日本のトップクラスの国立大学での実話ですが、留学制度の活用に日本人が全く手を挙げないので、日本政府の奨学金をもらって留学している中国人が自分も資格があるのかと聞いたら、あると言われたそうです。消極的な日本人の学生にも問題がありますが、何だか悲しい現実ですよね」

留学する学生へもっと徹底したケアを
日本の大学で何より問題なのは、あまり学生の面倒を見ていないのではないかという点です。授業もそうですし、授業外についても言えるのではないでしょうか。教員が教えて育てることに熱心でないし、教員の授業に関するモニタリング機能が働いていないように思います。 HBSではシニアな先生が若い先生の授業を参観して、その後いろいろとアドバイスを与え、若い先生の教授法を改善させているようです。日本の大学で同じようなことをしているところはほとんどないのではないでしょうか。佐藤所長は次のように言います。

 

 

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2014年01月23日

ハーバード・ビジネス・スクールはなぜ凄いか  No7

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実はHBSは10年ほど前から世界中のビジネススクールの教員にインタラクティブなケーススタディの指導法を教えています。夏に1週間、春に3日間ほどです。これは招待制ですが、中国からは30人以上参加するのに対して日本からは4〜5人です。 というのもHBSではケースメソッドを扱う学校しか招待できませんので自然とそうなってしまうようです。インドやラテンアメリカの学校もケーススタディをどんどん取り入れていますので、恐らく世界の主要国のビジネススクールの中でケーススタディ中心でないのは日本だけと言っても過言ではないかもしれません。

中国人やインド人の海外留学の旺盛さはよく耳にしますが、このような状況では、国内のMBA教育でも日本は中国やインドの後塵を拝することになるかもしれません。実際、日本ではMBAを扱う学校の淘汰が起こりつつあります。学生にとって学ぶ価値がないと判断されると生き残るのも難しくなってきます。学者になるわけではありませんから大学と同じようなレクチャー形式では魅力に欠けるわけです。

ビジネススクール出身者の価値を認めない日本企業
また、日本の企業がMBA出身者を生かし切れていないのにも問題があると佐藤所長は言います。「日本企業は製品開発の分野は強いのですが、戦略やマーケティング、ファイナンスが弱い。まさにこの3つはMBAで徹底して学びますので、本来はMBA出身者をもっと採用して補強すると良いのですが・・・」 「一方で、ビジネススクールで学んだことに基づいて話をすると、周囲から変わったことを言うやつだと思われ逆に色眼鏡で見られがちなため、あえて積極的に発言をしないMBA保持者もいると聞きます。

多様な考え方を尊重しない同質性の強すぎる日本企業のカルチャーに問題があります」


「また、MBAの価値を認めないのは、企業の上級管理職層がMBAを経験していないがゆえにその価値が分からないからだとも思います。私たちが今、企業幹部向けのプログラムを広めている理由の1つに、上級管理職層が短期間でもビジネススクールを経験すれば、MBAへの見方が変わるということがあるからです。現にあるMBA取得者が言っていましたが、上司が私たちのプログラムに参加してから、自分に対する態度ががらっと変わったそうです」

「MBA取得者を生かし切れていないという背景には、日本企業の受容性の乏しさにも起因していると思われます。企業にとってイノベーションは非常に重要なテーマですが、そのためにダイバーシティ(多様性)の必要性はよく言われるところです」 「私は日本企業のダイバーシティに欠けている点は3つあると思っています。1つ目はジェンダー(女性の活用)。2つ目は多国籍。そして最後に他の会社や他業種を経験した人材です。

日本ではあまり他社や他業種から中途採用をしません。変化の流れが速く多様化が進む現代において同じ会社に20〜30年働いている人たちだけでは変化や多様性が生まれず思考が限られてしまいます」 「グローバル化の名の下に多くの企業で外国人を積極的に採用しようとしていますが、それだけでは不十分です。それと同時に日本人に対して多様でオープンな環境をつくらないと、価値観からしてそもそも大きく異なる外国人を活かそうとしても難しいのではないでしょうか。

内なる多様化も同時に進めないといけないと思います。労働市場の柔軟性と経済成長率は相関しているそうですが、まさに労働市場の硬直化が日本経済の低調を象徴していると思います」 このように佐藤所長は懸念を示しています。

 

 

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2014年01月22日

ハーバード・ビジネス・スクールはなぜ凄いか  No6

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「先生は非常に緻密な準備をしています。まず80分の授業に関するティーチングプランを必ず作りますが、授業を進める段取りが細かく考えられています。例えば、最初の10分はどういうテーマでディスカッションをさせるか、最初にどんな質問を投げかけるか。そして、この学生のバックグラウンドを見ると今回のテーマに詳しいだろうから、このタイミングでその学生に質問させようとか、次はこのテーマを議論させようなど、80分間のシナリオが全部頭に入っています」

「また、ボードプランニングといって6枚ある黒板の使い方も事前に考えておきます。もちろんシナリオ通りに授業が進むことはまずないので、臨機応変に対応しなくてはいけません。1クラス90人の学生がいますから大変です」 「そして授業が終わると、どの学生がどんな発言をしたかを記録します。学生の成績評価の半分はクラスにおける発言の量と質が占めますので、教員も発言内容を覚えておかなくてはなりません。このように非常にタフな環境で授業を行っています」

東京・六本木にあるハーバード・ビジネス・スクール日本リサーチセンター
多大な負担を強いられるケーススタディですが、教員にとっても大きなメリットはあるようです。例えばHBSの教員はPh.D.( 経営学博士)、上がりなので実務経験はありません。 しかし授業
に使う事例を書き、ケーススタディ形式で教えることで、実際の企業の状況に関する理解がどんどん深まります。 そして、教員の時間の20%は自由に使えることになっているので、企業の社外アドバイザーや社外役員などになることもできます。したがって教員は決して象牙の塔に引きこもっているのではなく、現実のビジネス界のことにも非常に詳しくなるわけです。

レクチャー中心、進化しない日本のMBAプログラム
日本の場合は、実務経験豊富な教員がいる一方で、全く世の中の現実を知らない先生もいたりします。本来のプロフェッショナルスクールではなくて、依然としてアカデミックな人材を育てるスタイルのままであると聞きます。 ビジネススクールと謳っていながらプロフェッショナルを育てていないという声も聞かれますが、そもそも日本のビジネススクールでケーススタディを扱っているところが少ないと佐藤氏は指摘します。

「例えばケースメソッドを重視している慶応ビジネススクールですらケーススタディの割合が少し減っているようです。あとケーススタディを行っているのは一橋大学のICS、京都大学、早稲田大学、名古屋商科大学、グロービスぐらいですね」
「他のビジネススクールのMBAプログラムはレクチャーがほとんどで、あとは各先生が自分の意思で授業内で個別にやっているぐらいでしょう。ケーススタディを主にカリキュラムを構成しているところは稀有ではないでしょうか」

「それに対して中国には200のビジネススクールがあり、古いところでは20年の歴史があります。一方で日本は専門職大学院制度ができたのが2003年ですから、多くのビジネススクールは10年程度の歴史しかありません」 「中国は日本の文科省に当たる機関がビジネススクールのカリキュラムにケーススタディを必須としています。恐らく市場経済への移行を少しでも早く行うには、ケースメソッドで企業経営を学ぶのが最も効率的で有効だと判断したのだと思います。炯眼だと思います。また、アメリカの有名なMBA教授を積極的に招聘しています。中国では世の中の先端の事象を扱ったケーススタディを通じて学んだ学生がどんどん輩出されているんです」

 

 

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2014年01月21日

ハーバード・ビジネス・スクールはなぜ凄いか  No5

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日本のMBA教育「変われない症候群」 どうすればグローバル人材の育成ができるのか
2012.12.06(木)   村田 博信

「ハーバード・ビジネス・スクールはなぜ凄いか」では絶えず自己変革を起こすハーバード・ビジネス・スクール(以下、HBS)の一面を見ました。その一方で日本の大学がなかなか変われないのは、リーダーや教員の危機意識が希薄なため構造自体が硬直化しているところにも問題があるようです。前稿に引き続き、HBS日本リサーチセンターの佐藤信雄所長に聞きました。

教える側の熱心さと努力が学生を変身させるHBS
HBSでは、テニュア(終身)教授になるまでには、博士号を取ってアシスタントプロフェッサーとして着任し、その後アソシエイトプロフェッサーからテニュアへというプロセスを経ますが、各段階に5〜6年かかり、かつ昇進の際にはそれぞれ半数に絞られるシステムだそうです。 また、昇進するためには真剣にリサーチに努めることが必要とされるなど、日本とは異なる競争環境があります。

しかも昇進にあたっては、その分野に詳しい教授に、審査される教員は世界で見てもトップに入るのか、ほかに良い教員はいるのかなどをヒアリングします。ですから、昇進をかける教員は自分の価値を実績として示さないといけません。

さらに、教育についても非常に熱心です。リサーチとティーチングの両方をしっかりやらないといけません。なぜそこまで熱心かというと、ケースディスカッションを通じて学生がどんどん変わっていくのを目の当たりにするので、先生にとっても面白味があるようです。これがレクチャー形式との大きな違いです。 HBSでは以前から「2年間でトランスフォーメーショナルな(変化が起きる)経験をさせますよ」と言っています。そこに昨年から実践的なフィールドワーク(FIELD、詳細は前稿参照)が加わったので学生はもっと変わると期待されています。

佐藤所長が、HBSに入って1〜2カ月しか経っていない日本人の学生から実際に聞いた話によると、例えばレストランに入った途端に、その店のプロセスをつぶさに観察するようになったと言っていたそうです。ここをこうした方がよい、これはこういう仕組みが働いているのだろうと、頭の中で瞬時に思考が働くようになったようです。それぐらい短期間で大きく思考回路を変える環境がHBSの特徴の1つなのでしょう。 

レクチャー形式の場合、どうしても学んだことが学生の頭の中に残りづらいですが、ケーススタディを通じて学んだことは血となり肉となるわけです。しかもディスカッション形式なので、人によって様々な考えがあることに気づきます。

正解でなくても、その状況での「最適な解」を導き出す訓練を受けることが個々人のポテンシャルを引き出す結果につながります。 1クラス90人の多様な考え方に触れて、こんな角度から考えられるのか、こう考えないといけないのか、自分はこういうことは普段考えていなかったなど、多面的な見方が身につきます。こうしたことを1人の教員が与えるには限界があります。 しかし教員からすると、予定調和的なレクチャー形式に比べ、想定外の質問や反応にも柔軟かつ適切に対応しなければならない生のケースディスカッション形式は非常に負担がかかるのではないでしょうか。佐藤所長によると、教員は相当な準備をしているようです。

 

 

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2014年01月20日

ハーバード・ビジネス・スクールはなぜ凄いか  No4

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1年次の2〜5月までが第3モジュールですが、VCから投資を得たグループは2年次に実際に企業を立ち上げます。中にはディズニーから出資を打診されたグループもあったそうです。第3モジュールでは多くのグループがビジネスの立ち上げに失敗したそうです。しかし学校としてはこれらの失敗は想定内でした。なぜなら目的の1つに失敗から学ばせることがあるからです。失敗の原因はビジネスモデルがまずかったり、仲間割れなど様々ですが、それらを経てチームの運営の仕方を学ばせます。

失敗をしても許される、学校という安全な環境の中で失敗を経験させることで、実社会の中でその体験を活かしてより良く対応できるようにする。そして大事なのが失敗を通して謙虚さを学ぶことなのです。このFIELDではデザイン思考を取り入れています。それは顧客ターゲットの行動特性を観察し、そのニーズを反映したプロトタイプを作り改善していくというメソッドで、ケーススタディを補完する重要な教育方法論になりつつあるといいます。また、他の大学ではここまで体系化して行っているところはないそうです。

以前、一橋大学名誉教授の野中郁次郎先生がハーバード・ビジネス・レビューでワイズ・リーダーシップというリーダー像を提唱されていましたが、HBSでも社会の共通善に貢献する、人間中心で協調型のリーダーを育成する方向へシフトしている気がします。

絶えず自己変革をすることでMBA取得のトップ校であり続ける
しかし驚くべきことは、常に世界のトップ3にランクされるHBSですら、絶えず自己変革を行っていることです。それは10代目にあたる現学長でインド人であるニティン・ノリア氏のリーダーシップが大きかったといいます。2010年7月に着任し、HBSもイノベーションを起こさねばという危機意識があったようです。実は米国生まれでない人物が学長に就くのはHBS初だそうですが、彼を招聘したのも、これまたハーバード大学初の女性総長だそうです。

「彼女は金融危機を経験して、ビジネスリーダーを育てるには従来の教育方法ではダメだと彼に言ったはずです。そしてノリア学長も様々な人に話を聞いたんです。HBS内だけでなく、ビジネスパーソンなどにも」 「その中で彼が感じたことは、今ほどビジネスが社会から尊敬・リスペクトされていない時代はないのではないかということでした。世の中を永続的に良くし続けることができるのはキャピタリズムしかないわけですから、やはりビジネスがリスペクトされるようにならないといけない」

「キャピタリズムの担い手である民間企業が頑張らないと持続可能な社会は生み出せないですし、政府が全部やるわけにはいかないので、民間企業がリスペクトされるようなリーダーを育てないといけないと痛切に感じたのだと思います」
「そして彼がもう1つ言っていることは、今は米国の大学は世界的に高い評価を受けているが、これは経済力がバックボーンにあるからであるということ。昔、ドイツ経済が世界の中で力を持っていたときはドイツの大学が評価されていたし、パックスブリタニカの時代は英国の大学の評価が高かった。その前はイタリアです」

「これからは米国の経済が世界の中で圧倒的な力を持ち続けられるか分からないので、自分たちが常に高いところを意識して変革と成長をしないといけないという自覚が強いですね」もちろんFIELDの導入がスムーズに進んだわけではなく、従来のケーススタディのスタイルでいいじゃないかと言う先生もいて、当初は全員が賛成ではなかったようです。

大学は教授陣の個人商店の集まりのような側面もあり、そこは日本も米国も同様トップダウンではなかなか動かない事情があるようです。しかしノリア氏は自身の専門がリーダーシップだったので、非常にコンセンサスを取るのが上手なのだそうです。

 

 

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2014年01月19日

ハーバード・ビジネス・スクールはなぜ凄いか  No3

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HBSが求める人物像にも変化が起きている
学生の人となりも重視して合否を決めるとのことですが、これだけ世の中が急速に変わっている中で、HBSが求める人物像も変わってきているのではないでしょうか。佐藤所長によると、入り口(入学時の人物像)は変わっていないといいます。その代わり出口(卒業時の人物像)は変わってきているようです。 「HBSのミッションは昔から変わらず、“To educate a leader who makes a
difference in the world.”(世界に変化をもたらすリーダーを育てる)というものです。

要するに入り口では将来リーダーになる可能性の高い人物を合格させるということです。ですから応募に際して提出されるエッセイの中で、この人はどんなリーダーシップを過去発揮してきたかを見ています。 また、「who makes a
difference」という点では、とにかく世の中にインパクトを与える何かを起こせる人材かどうかを見ます。例えば、サラリーマンでも所属する組織の中で率先して新たなビジネスをつくり出しているとか、あるいは社会に対して問題意識を持ち社会を良くするためにアクションを起こしているかなどです。要は言われたことだけをやっている人物でないことが重要です」

ただし、出口の人物像は変わってきていると佐藤所長は述べています。 「従来のHBSの卒業生は、頭は良い、知識も豊富、分析力がすぐれている、事例で実践的な学びも得ている。それゆえに、これは私の見方ですが、彼らは“自分は何でもできる”という少し傲慢なところもあったのではと思います」 「しかし実際にはチームや組織の中で人を動かそうと思えば彼らも失敗を多くするわけで、本来謙虚さを持っているべきですし、謙虚さがないと人は動かせません。

つまり、リーダーとして成功するにはIQだけではダメでEQも必要だということです。教授陣も最近は「ハンブル(謙虚)」であることを強調するようになってきました。それを学ばせるために昨年の1年生から導入したのが、FIELD(Field, Immersion
and Experience for Leadership Development)という必修コースです」

現実に近いビジネスの疑似体験から学ぶリーダーシップ
これまでのカリキュラムはほぼ100%がケーススタディでしたが、FIELDは教室の中のディスカッションとは全く違うもので、ケーススタディを補完する目的で始まったと言えます。具体的にはFIELDは3つのモジュールから成っています。

第1モジュール「リーダーシップ・インテリジェンス(leadership intelligence)」では、6人で構成されるグループのメンバーから、自分の弱点を含めた評価をもらったり、プロのコーチャーからコーチングを受けたりして、自分のリーダーシップスタイルに関して自己認識をさせます。

第2モジュール「グローバル・インテリジェンス(global intelligence)」では、第1モジュールとは異なるメンバーで構成されたグループ(6人)が新興国に1週間〜10日間ほど派遣されます。メンバーは該当国と現地のパートナー会社に関して事前に相当勉強をし、滞在期間に現地企業とのパートナーシップを通じて、新商品開発や新サービス開発を考えます。事前にパートナー企業とやり取りをしたうえで現地入りするのですが、実際に現地に行って自分の目で観察したりパートナー企業とディスカッションをしてみると、前提としていたことの多くが新興国では存在しないことを実体験します。

このように今の生活とのギャップを体験させることが重要で、先進国あるいは米国で通用していたビジネスの考え方が必ずしも新興国で通用しないことを体験することは、将来グローバルに活動できるための布石となります。今後はグローバルビジネスの中で新興市場の占める割合が増えるので、そこで実力を発揮できるリーダーを育てる必要があるというわけです。

そして第3モジュール「インテグレイティブ・インテリジェンス(integrative
intelligence)」では、また新たな6人で構成するグループごとに新しいベンチャーを起こします。目標は1ドルでもいいから売り上げをあげることです。そのためにグループ当たり2000ドルが軍資金として与えられます。1カ月ほど経ったところで疑似ベンチャーキャピタルマーケットを設定し、各自が疑似通貨で他のグループのベンチャービジネスに投資し合います。最後は本当のベンチャーキャピタリストも招いて、その中から選ばれたグループがプレゼンし実際に投資を得ます。

 

 

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2014年01月18日

ハーバード・ビジネス・スクールはなぜ凄いか  No2

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ケーススタディには時代の変遷が反映される
当然グローバルな視点からそのようなニーズに合致する企業を探すので、必ずしも日本企業の事例が選ばれるというわけではありません。1980年代は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」で、日本から学ぼうという需要があったため、日本企業の事例を取り上げる理由は多々ありました。しかし状況が変わった今は、日本のリサーチセンターでは教授のニーズに合った日本企業を探すのに苦慮している現実もあります。「残念ながら、現在は日本だから学ぶことがあるという発想は特段ありません。

一部の教授陣は日本は重要な国なので引き続き事例として取り上げる必要はあると言ってくれますが、個々の教授の興味次第ですのでなかなか期待したとおりには運びません。それに、教授が読んでいる情報源は米国のウォールストリート・ジャーナルや英国のエコノミスト、フィナンシャル・タイムズなどですが、そうした新聞・雑誌で取り上げられる日本の情報自体が減っています。だから教授にとっては日本で何か面白いことが起こっているという感覚が薄れているのは確かです」と佐藤所長。

一方、今ホットなのは中国やインドだそうです。なぜなら、教授自身がこれらの国の状況を把握していなければならないからです。今後、企業が進出するうえで知っておくべきこともありますし、学生がそれらの国に駐在する可能性もあります。
「インドでは面白いイノベーションが結構起きているんですね。HBSの教授は特にイノベーションに関心がありますし、さらにBOP(Bottom of the Pyramid/最低所得者層)ビジネスの対象でもありま
すから、インドは事例となる要素を備えていると言えます」と佐藤所長は指摘しています。

これまでと変わってきた学生の興味対象
日本は課題先進国なのでその点では事例の対象にはなり得ると思いますが、それより今はまだ、BOPや新興国の方が教授たちに人気があるようです。しかし金融危機からも明らかなように、これまでの欧米の経済成長が下駄をはいていたことに気づき、今後身の丈にあったレベルに収束すると、課題先進国的な事例が必要とされるのではないでしょうか。国別在籍者数もケーススタディの対象国を選ぶのに影響しているのかもしれません。現在の1学年当たりの学生数は、日本人が10人程度に対し、中国人は三十数人、インド人は四十数人とのことです。

また、学生の関心という点では、一般企業だけでなくNPOやソーシャルビジネス企業のケーススタディのニーズもますます高まりそうです。最近、米国のエリートの就職先としてNPOやソーシャルビジネス企業が上位に上がってきていますが、HBSでも先行してこの分野に関するリサーチと教育を行っているそうです。

佐藤所長はこの点について次のように述べています。
「HBSでは、NPOに学生が就職したら、3年間一般企業との給与の差額を保障しているぐらいNPOに力を入れています。また2年生の選択科目にソーシャルビジネス企業のコースがありますが、これは最も人気の高いコースの1つになっています」 「また、HBSに入る学生は自費が圧倒的に多いためローン頼りの学生も少なくありませんが、HBSは選考段階で学生の資金援助の必要性はいっさい見ずに合否を判定します。仮に資金援助が必要であれば、奨学金や低利のローンを与えたりします。一方、スタンフォードをはじめほとんどの大学は学生の資金ニーズも含めて合否の判定をしているのが現状と聞いています」

 

 

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2014年01月17日

ハーバード・ビジネス・スクールはなぜ凄いか  No1

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どうすればグローバル人材の育成ができるのか JB Press   2012.12.05(水)

村田 博信:プロフィール1999年早稲田大学理工学部を卒業後、基幹業務システムの世界最大手外資系企業にてコンサルティングに従事した後、教育事業会社にて経営企画室長として新規事業の創出などに携わる。その後、事業プロデューシング会社にて、政府による国民啓発運動の戦略策定や大手企業の経営戦略策定などに従事。2008年に独立し、企業向けの経営コンサルティング及び人材研修や、教育機関向けのリベラルアーツ教育に取り組む一方で、一般社団法人海外留学協議会JAOSによるグローバル人材育成プロジェクト「Global Japan Initiative」のディレ
クターを担う。学生時代、アジア・アフリカ諸国等にてボランティア活動や一人旅を合計1年間ほど行う。国際開発協力会社のパートナーコンサルタントも兼任。

各国で活躍するビジネスリーダーを輩出し、MBAで世界の頂点に立つハーバード・ビジネス・スクール(以下、HBS)が日本に拠点を置いていることを知っている方は少ないかもしれません。実は、HBSは世界5カ所にリサーチセンターなる拠点を設けており、常にグローバルな視点でリサーチとケーススタディ(=企業が実際に直面した問題について学生が議論する授業)の作成を行っています。

日本のリサーチセンターでは、HBS教員の研究ニーズに合った情報収集や、新規ケーススタディを作成するためのインタビューのセッティング、ドラフト作成などを担うほか、理解促進のために様々な場でHBSについて話をしたり、要請があれば企業に出向いて社員にHBSの教育論やリーダーシップ論などの説明を行います。

米国に偏っていたケーススタディをグローバル化
HBSにリサーチセンターができたのは、1996年に当時の学長がグローバル・イニシアチブ・プロジェクトを開始したことがきっかけです。HBSでは年間300以上のケーススタディを作っていますが、世界経済がどんどんグローバル化しているのに対し、米国の事例に偏り過ぎている傾向を修正するために各地に拠点を設け始めました。アジア・パシフィックを担当する香港を皮切りに、これまでラテンアメリカ(ブエノスアイレス)、日本(東京)、欧州(パリ)、インド(ムンバイ)にリサーチセンターを開設。

来年は中東を担当するイスタンブールのセンターがオープンする予定です。その成果もあり、2011年は新規ケーススタディの50%強が米国以外の事例でした。「HBSのグローバル戦略は、海外にサテライト校をつくるのではなく、あくまでも拠点はボストンのみで、その代わりリサーチとケーススタディといったコンテンツをグローバル化するという方針です。要するに世界中から優秀な学生がボストンに来ればグローバルな視野が得られるというアプローチです」と佐藤所長は説明します。

では、HBSではどのようにケーススタディが作られるのでしょうか。佐藤所長によると、まずは教授のニーズありきとのことです。新しいケーススタディを作る理由は、既存のコースの場合、教授の指導目的に今ある事例が必ずしもフィットしない、または古くて学生がピンとこないという2点があります。一方、新規のコースを始める際には、新しいケーススタディの作成が必要となる場合が多くあります。

 

 

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2014年01月16日

すべては岩次郎のお陰   

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文藝春秋  http://gekkan.bunshun.jp/articles/-/875   鎌田實 (医師・作家)


十八歳の夏、ぼくは義父・岩次郎の首を絞めた。「大学へ行きたい」と泣きながらお願いした。だが、父は「勉強なんかするな。貧乏人は働けばいいのだ」と突っぱねた。カッとして父の首に手をかけた。父が泣き出し、ぼくは我に返った。
「勉強するな」と言われてから、勉強するようになった。ぼくの性格を見抜いていたのではないかと思う。岩次郎からほめられた覚えはない。運動会で一等賞になっても、「もっと早く走れるはず。力を出し切っていない」と父は不満だった。

ほめるといい気になって、すぐに手を抜いてしまうと思っていたのだろう。だが、ぼくは楽々走っているように見せながら、本当は一生懸命走っていた。がんばっている姿を人に見られるのがいやだった。今でも、がんばっているのに「がんばらない」なんて言っている。岩次郎は頑固な人だったが、誠実で、やさしい人だった。ぼくを生んでくれた父や母はぼくを育てられなかった。

貧乏と、妻は重い心臓病という二つの困難を抱えていたにもかかわらず、行き場のないぼくを自分の子として育ててくれた。すべてこの人のお陰だ。

作家の山本一力さんと講演で一緒になった。岩次郎の話をすると、何か感じるものがあったようだ。「お父さんの名前を使わせてもらえませんか」と言われた。権力に屈しない江戸の町の瓦版屋は、釜田屋岩次郎と名付けられ、『早刷り岩次郎』という時代小説になった。まさか、人気作家の小説の主人公になるなんて、父は予想もしていなかっただろう。

ぼくの『がんばらない』がベストセラーになり、二時間ドラマになった。岩次郎の役は大滝秀治さんが演じた。頑固な雰囲気は、岩次郎そのものだった。ぼくは長野県茅野市の林の中に建てた丸太小屋を「岩次郎小屋」と呼んで、そこで暮らしている。朝四時半に起きると、コーヒーをいれて、半分を岩次郎の仏壇にお供えし、残りをいただく。これがぼくの岩次郎小屋にいるときの日課である。

亡くなって十数年経つが、今も岩次郎の存在を身近に感じている。
貧乏のなかで大変なこともあったが、すべては血となり肉となった。ぼくの生き方の多くは、遺伝子のつながりのない岩次郎から受け継がれていると思う。父に全身ではむかった日々も含め、岩次郎に感謝し続けている。

 

 

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2014年01月15日

孫娘を育てあげて    

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文藝春秋   http://gekkan.bunshun.jp/articles/-/876   野沢雅子 (声優)

「あなたは白米なのよ。男の人は外でお赤飯やちらし寿司を食べたくなることもある。だけど、白米は飽きないの。絶対に帰ってくるから、自信を持ちなさい」嫁ぐときに母から送られた言葉です。母は「女の人といつ何があるかわからないでしょう」と、下着まできれいなものに替えて父を送り出していました。私は父が四十八歳、母が五十一歳のときに生をうけました。母とは世に言う「生さぬ仲」です。

子どもに恵まれなかった両親がある女性に頼んで、父との子を産んでもらった……。それが私です。

一人っ子だった私は、それはそれは愛されて育ちました。ずいぶんと年の離れた親子だけど、疑問を抱いたことすらありませんでした。少女時代には親子三人、群馬で過ごしました。これも、戦争が激しくなって、東京から疎開する話が出たときに、両親が「まあちゃんと離れたくない」と一家での移住を決めたからです。幼い頃の遠足には必ず、手作りの海苔巻といなり寿司を持たせてくれました。ある時、お友達のおにぎりと交換したら喜ばれ、それを母に話したら、お友達の分までたくさん、作ってくれるようになりました。

朝早くから大変だったと思います。だけど「これで、まあちゃんはおにぎりも食べられるでしょう」と、笑顔でお重を渡してくれました。産みの母ではないと知ったのは高校生のときです。偶然に戸籍関係の書類を見たら「養女」の文字。目の前が真っ暗になりました。その日のうちに父に事情をきき、父も母もいつ打ち明けようかと悩んでいたことを知りました。

私が嫁いで何年かが経ち、父は七十六歳で亡くなりました。母はそれから寝込むことも多くなりました。そんな時期に、私は待ち望んでいた子どもがお腹にいることを知りました。でも、母の看病と声優の仕事をしながら赤ちゃんを育てる自信がなかった私は、母に「この子を諦めようかと思う」と打ち明けました。母の返事は「その子はお父さまの生まれ変わりかもしれない。私が面倒をみるから、まあちゃんは仕事を続けなさい」でした。

母は嘘のように元気になり、娘が三歳になるまでは、と話していたのが「やっぱり小学生までは」「中学生までは」と変わり、とうとう大学生になった百歳まで生きました。亡くなる前の年だったでしょうか。「子どもを産むことが出来なかった私に、孫まで面倒をみさせてくれて、こんな幸せな人生はなかった」と微笑んでくれた母。私にとって大切なただ一人の、そして世界一の母です。

 

 

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2014年01月14日

あなたは親の背中が見えますか?  No2

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弟子を育てるのは社会への恩返し
ちょっと話はそれますが、親の背中ではありませんが、似たような背中で、このようなときに私が決まって思い出すエピソードがあります。京都の大きな工務店の社長Tさんのお話です。山陰の田舎から60年前に京都に出てきて、徒弟制度で一人前の大工になったTさんは、独立してからもずっと徒弟制度で弟子を育ててきました。もう息子の代になり隠居の身のTさんに、郷里の知人がたっての願いにと、不良になった孫の弟子入りを頼んできたのです。

Tさんの工務店の跡を継いだTさんの息子たちは大反対。でもTさんは、社会への恩返しにあと一人だけ弟子を育てたくなった、と引き受けました。新入りの住まいが住み込みでなく、Tさん宅の近所のアパートなのがTさんは気に入りませんが(普通は住み込み)、郷里の知人が願い出た唯一の条件でした。新弟子の親が、子供に車を買い与えようとすると、Tさんが許しません。「この子の全責任は、ワシが負っている。車は自分の甲斐性で買うものだ」。

一事が万事で、今どきの若者の甘えに、Tさんが妥協したり振り回されることはありません。工務店の会長となったTさんの乗用車は、いつも軽自動車。「客あっての仕事で、客の前に大きい車で乗りつけるヤツの気が知れん」。生活全般に貫かれていたTさんの姿勢でした。8月の初めに、大工の見習い仕事さえできないほどのケガをした新弟子が、親方に黙って郷里に逃げ帰りました。郷里の親からTさんに「ケガが治りましたら、帰します」と電話が入る。

Tさんは厳しく、「そんな問題じゃない、黙ってすぐに戻してください」。その新弟子が仕事もできない身体で渋々戻ってきた数日後が、現代の薮入り日(奉公人が年に2回、里帰りする日)の8月16日。Tさんはしきたりどおり、新弟子からの両親への小遣いや手土産としての親の下着と、新弟子自身の小遣いを持たせ、本人の着て帰る服と着替えも全部新品にして、薮入りをさせたのです。蛇足ですが、徒弟制度では、それらはすべて親方持ちです。

「弟子を引き受けることが、ワシにとってもどれほどの覚悟と愛情が必要だったか、向こうの親にもわからせる必要があった。それもワシの行動で」とおっしゃっておられました。くだんの不良少年もその親も、以降は甘い考えをTさんに申し出ることはなくなったということです。「向こうの覚悟は、そのとき、できたようだった」とTさん。「ワシの行動で」と言われたのが、つまり「背中をみせる」ことだったのは明白です。あいさつや言葉ばかりが巧みで、行動が全然伴わない人に出会うと、Tさんを思い出します。

芸は盗んでも罪にならない
「芸は盗むもの」という言葉を、伝統芸能界や落語界でよく聞きます。私は教えるのが苦手な人、または教えるのが面倒な人から都合よく発せられた言葉だと、ずっと受け取っていました。最近、亡くなられた笑福亭松喬師匠の、「教えられた芸はすぐに忘れるが、盗んだ芸は忘れない」という言葉に、目からウロコでした。芸と教育の違いはありますが、今日のコラムに登場された親子さんに通じるものがあります。

「盗むにもキャリアがいる」は立川談志師匠です。見せるだけの背中があっても、それを読み取る側の子供の感性なり知性がないと、この言葉は成立しません。見せるに足る背中が先か感性が先か?鶏が先か卵が先か?ここは間違いなく、鶏でしょう。

 

 

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2014年01月13日

あなたは親の背中が見えますか?  No1

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教えられた芸は忘れるが、盗んだ芸は忘れない  東洋経済   2013年12月16日  ミセス・パンプキン :グローバルマザー    http://toyokeizai.net/articles/-/26415

グローバル化が進む中、親たちは、子供を世界で通用するエリートに育てるため、日々、努力を重ねている。しかし、若手マザーの中には、子育ての仕方がわか らず、周りの助言にも恵まれないケースも
多い。そこで、一般的な家庭ながら、子供を国際弁護士、国際金融マン、海外著名大学教員、公認会計士に育て上げた 著者が、読者の皆様からの子育て相談に回答する。今日は親の短
い一言を何遍も反すうしてみることで、重要なメッセージを読み取り、主体的に生きる力とした学生さんのケースに学びたいと思います。

【慶応義塾大学Iさんの寄稿文】 家風は「親の背中から学べ」
私の親の教育方針を一言で表すならば、「背中から学べ」というものでした。 私の親はどちらも高卒です。私が生まれたのは両親ともに20歳のときで、私には妹と弟がいます。そのため、幼い頃から経済状況はよくありませんでした。 そして
両親が家族を支えるために必死で仕事している理由についても、幼い頃からよく考えるようになっていました。私が勉強もほとんどせずに遊んでばかりいた中3の夏のことです。

一度も勉強のことに口出しをしたことがない父親が、「勉強しろよ、俺みたいに苦労してほしくないからな」と、初めて言ったのです。 僕は父の言葉を何百回何千回と自分の中で反すうし、本
当の意図の理解に努めました。 そして1週間後、私はそれまで本気で向き合ったことがなかった勉強に、全力で取り組みました。半年後の受験では、進学校に合格。大学受験もその過程は同様でした。 私はこの教育方針に
よって、つねに自分で考え抜く力、そして主体性を培うことができたと自認しています。
この2つは、今の私を形成する強みにもなっていると考えています。

「勉強しろよ、俺みたいに苦労してほしくないからな」
このたびの寄稿文の行間には、お父様のお人柄のよさと、息子さんの聡明さを読み取ることができて、私も感動しました。普段は、勉強しない息子に対して、いっさい何も注意されないお父様が、ここ一番のときに「勉強しろよ、俺みたいに苦労してほしくないからな」と言われました。説教調でもなければ、脅迫調でもなく、エビで鯛を釣る式でもありません。一時期、問題になった「お父さんのようになりたくなかったら、勉強しなさい」という、母親の貧しい言葉とも無縁の家庭です。

学生さんは何百回何千回と反すうされて、お父様の短い言葉の中に、とても重要なメッセージを読み取られました。一昔前に税務署で、高卒だが何十年も実務を積んできた人たちを、赴任してきたばかりで現場を知らない大学卒業したての若い所長が、あごで使ったり威張り散らす現場が多発し、改善策を検討中という新聞記事を読んだことがあります。このような事例はよく聞く話で、大卒でないというだけで、理不尽に辛酸をなめておられる人は多いようです。

このお父様は、普段はこのようなことに対して何も愚痴らず、子供の勉強に関しても一言も干渉する人ではなかったようです。口やかましく「勉強しなさい、勉強しなさい」と、効果の薄い言葉を念仏のように繰り返すだけの親とは正反対です。「俺のように苦労してほしくないからな」と親の願いとして、本人自身のために勉強することの大切さを、短く語っただけでした。この親子にはこれだけで充分だったところがすごいです。

普段から信頼で結ばれた親子関係だったことがわかります。見せるに足るだけの背中を持っておられ、子供さんから尊敬される父親だったからこそ、この短い言葉で、息子さんの心を揺り動かすことができたのでしょう。親の言葉を念仏のように(念仏に失礼ですが)聞き流すだけの子供とは大違いです。この言葉を重く受け止めたこの息子さんもすばらしい。

 

 

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2014年01月12日

終わらない教育費、 No2

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安心老後評価表
住宅ローンについては繰り上げ返済を実行したい。貯蓄のうち300万円で繰り上げ返済を行い、残債を200万円に減らして65歳になる前に住宅ローンが完済できるようにする。毎月返済額はこれまでと変わらないが、年金生活に入った後の生活はこれでずっと楽になる。ローンの残債をすべて返済せずに300万円だけにしたのは、長女がまだ未成年で今後の不確定要素が多いからだ。教育費が見込み通り終わるとは限らないし、想定外のことが起きる可能性もある。

ただし、大学院への進学については本人が奨学金を利用すると割り切ったほうがいい。西谷家では長男も大学卒業後、働きながら大学院で学んでいる。身近で見ている長女なら、きっと納得するはずだ。

●安心老後への道
1.長女の大学卒業まで、妻も収入を得ることを検討
2.住宅ローンが65歳で終わるよう、300万円を繰り上げ返済
3.生命保険を見直し、保険料を大幅カット

老後を蝕む病気と処方箋 ●悪性スネカジリ腫瘍
【症状】定年退職を過ぎても独立しない子どもが老後資金を蝕む病気。子どもが在学中で独立時期が見えていれば良性、スネカジリの終わりが見えないときは悪性。

【処方箋】 良性の場合はあと数年の辛抱で回復が見込まれる。早めに教育資金を準備しておく予防策が有効。ただし良性の場合も就職失敗などで悪性に移行することがあるので注意が必要。「教育費を出すのは大学を卒業するまで」と言い渡しておくことが予防策になる。悪性の場合は専門家への相談も検討する。

●保険依存症
【症状】将来への不安から必要以上の保険に入りたがる症状が特徴。多額の保険に入るほど満足感が高くなる。生保セールスに言われるまま加入してしまうケースも多い。多額の保険料を支払って家計を悪化させるが、保険と貯金を勘違いしている傾向も見られる。

【処方箋】保険料が総額でいくらになるか認識するのが治療の第一歩。費用対効果の面から説明を受けると納得する場合が多い。そのうえで必要な保障だけに絞り割安な方法で加入する見直しを検討するとよい。

 

 

posted by タマラオ at 05:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記